Mellow〜海面に咲く華〜 第四話「分の悪くない賭けは大好きですごめんなさい」



登場人物

♂ミカヅチ・アザイ 17歳 行方の分からぬ父親を探すため妹と共にヴァルハラへ転校してきた本編の主人公
                        意外とフランクな性格と見せかけて不真面目万歳の皮を被った「武人」。若干シスコン

♀アメリア・L・エリダンヌ 17歳 ミカヅチと同じクラスになる国のお嬢様だが、お嬢様という特別視を嫌う。
                            彼女自身もお嬢様には見合わぬ天真爛漫な性格をしているが魔法剣士の腕は一流

♂ハーネル・レッドホーク 17歳 ミカヅチのクラスメイトでミリタリーマニア、不真面目代表
                            制服を着崩したりピアスをしている一見チャラい男だが、ミカヅチ同様なにかとアツいものを秘めている

♀ミズチ・アザイ 16歳 ミカヅチの妹、共にヴァルハラへ転校してくる。
                      重度のブラコン。ミカヅチを慕い、世話をするが少しの事で泣く娘

♂アルバート・ブーン 38歳 ミカヅチのクラス担任。就任15年目のベテラン教師
                          スーツをラフに着こなし、そこから見える逞しい肉体と煙草がトレードマーク。

※各キャラクターのもう少し練った詳細設定はコチラ※


役表(♂3:♀2:N1)
♂ミカヅチ:
♂ハーネル:
♂アルバート:
♀アメリア:
♀ミズチ:
♂♀ナレーション:


N:ある意味波乱な転校から2週間が経ち。友人関係にも恵まれた今日も多分平和なアザイ家。
  自宅の庭では、薙刀型の木刀を持ったミズチが、普通の木刀を持ったミカヅチに打ち込んでいた。
  ミカヅチは超絶的に眠たそうに片手をポケットに入れながら返す。乾いた木の打撃音が住宅街に気持ち良く響く。

ミズチ:ねぇお兄ちゃん、学校生活には慣れた?

ミカヅチ:ふあぁ・・・。そっくりそのままお前に返しちゃる

ミズチ:もうっ!質問を質問で返さないのっ

ミカヅチ:至って普通だ、ダチも速攻出来たし毎日バカやってるし。・・・授業はダルいがな

ミズチ:向こうでは只の普通科で、コッチ来ていきなり魔法戦技科だもんねー

ミカヅチ:お前もそうだろう?魔法化学科だっけか、矛盾してんだかしてねェんだか

ミズチ:普通の化学の延長線上って考えれば意外と面白いんだよ?レベッカ達もちゃんと教えてくれるし

ミカヅチ:・・・あいつのテンションの上がり下がりにはどうしても付いて行けん

ミズチ:普段はすごい真面目な人なんだよ?成績もトップチームに入ってるらしいし

ミカヅチ:黙ってりゃ可愛いのによ、あのハイテンションのせいで3割減だな

ミズチ:ム・・・お兄ちゃんっ!!

ミカヅチ:ぬぉおふっ!!?・・・おぉ良い斬り上げだー(※棒読み)

ミズチ:レベッカはあれでいいの、多分あぁじゃないとあの子成り立たないと思う

ミカヅチ:お前何気に酷い事言うな。誰に似たのか

ミズチ:お兄ちゃんの他に誰がいるの!

ミカヅチ:・・・サーセーン。ほーれスキだらけっ

ミズチ:うわわっ!?

N:ミカヅチが木刀を切り替えすと、甲高い木の音と同時に薙刀が宙を舞う。
  勢い余ってのけぞったミズチはそのまま尻もちをついてしまった。おっ、前見えてるぞー。

ミカヅチ:相変わらず手首堅(かて)ェぞ、だから衝撃を吸収しきれんのだ

ミズチ:うぅ、だって私基礎しか習ってないんだもん・・・

ミカヅチ:・・・基礎の中でもかなり序盤に習うハズなんだがなァ?

ミズチ:・・・うぅ

ミカヅチ:精進しろよ、親父が見たら笑われるぞー?

N:ミカヅチが木刀と薙刀を持って家に入って行く。立ち上がったミズチは自分の手を眺め、
 開いたり閉じたり、ふにゃふにゃと振ったりしながら、頭に「?」マークを浮かばせ首を傾げる。


N:学生が嫌う月曜日ですコンチクショー、もちろん一般企業の人間も嫌いです。
  ミカヅチは昼休み、昼食をとった後アルバートに職員室へ呼び出しを受けていた。
  何かやらかしたんですか、ミカヅチさん?

アルバート:おう、悪いな昼休みに

ミカヅチ:内容は大方予想ついてますからね、そりゃ休憩時間だろうとすっ飛んできますよ

アルバート:そうか・・・。ま、俺が呼び出すと言えばコンゴウさんの事しかないからな。正解だ

ミカヅチ:此処へ来てもう2週間になりますかね、色々バタついて慣れるの時間掛かっちまいましたからねぇ

アルバート:すまない、生活環境もガラッと変わって戸惑う所に休ませる隙も与えないでしまって

ミカヅチ:なんの、無駄に身体が鈍(なま)るより遥かにマシです。・・・で、今回は?

アルバート:うむ、ざっくり簡潔にしか俺も知らんが・・・コンゴウさんがアトランティスに来た理由は、
         何やらこの地に古くからある「Mellow(メロウ)」の伝説を調べる為だったらしい

ミカヅチ:・・・メロウの伝説?

アルバート:当時の俺はその話はノーマークで興味無かったから本当にざっくりしか話せんが
         その「メロウ」というのは海面に咲く花の名前と、それを崇める守護神の名らしい

ミカヅチ:ハスの花じゃあるまいし、ましてや海面に花なんて咲くんですかね?若しくは海藻の類か

アルバート:それは俺も疑問に思った、だが多分無理だと思うぞ。38年生きてきて海面で育つ
         植物なんざ見たことも聞いたことも無い。海藻だって何だかんだ生きてるのは海水の中だしな

ミカヅチ:しかし・・・古(いにしえ)とはいえ、花の伝説なんて探って親父は何しようってんだ・・・?

アルバート:そればかりは俺にもわからんな。何せ調べ物が苦手な人間でな、今分かるのはそれくらいだ

ミカヅチ:はぁ・・・そうっすかぃ・・・

アルバート:まぁそう落ち込むな!そもそも、ンなもん簡単に分かったら幻でも伝説でも無いだろう?

ミカヅチ:ですね・・・ま、ヒントの中の一つとしては捉えられますよ

アルバート:ジリジリ調べていくのかい?この伝説も

ミカヅチ:例え.1(カンマ1)の情報でも、本当の0よりは遥かに心強いですから。
        ・・・それに、煮詰めていきゃ.1から更に数字を増やせられるといっても過言じゃない

アルバート:どんな危険が待っているか分からんぞ?何せコンゴウさんが行方不明になるくらいだ。
         起こるのはケガの一つや二つで済まされる問題じゃないかもしれない

ミカヅチ:無論上等、寧ろ行方不明だけなのが奇跡だと思ってますから。
              互い似たような修羅を見てきた身として、四肢がズタズタになろうと俺は探しますよ

N:なにこの人かっこいい。胸を張り親指で自分を指すミカヅチさん。
  アルバートはコーヒーを一口すすると、溜め息混じりに少し笑いを漏らし

アルバート:全くコンゴウさんにそっくりだな君は、その眼も同じ人間を見ているようだ。
          だが、君だけに危ない橋は渡らせん。俺も手伝うよ、コンゴウさんとは長い付き合いだ、
           彼が魂を売ってまで探り続ける伝説、俺も気になるからな。

ミカヅチ:そうですか・・・ありがとうございます

アルバート:あとは・・・そうだな、捜索チームを揃えた方が良い。
          これからは只の散策とかじゃなく、情報との闘いにもなりそうだからな

ミカヅチ:しかし、個人の問題にクラスメイトとかを巻き込むのは気が引けますね・・・。
        それに俺はまだ転校して2週間ですよ?友人は居ますがそこまで前のめりになってくれる奴は・・・

アルバート:(※間髪入れずに)問題ない問題ない!仮にもコンゴウ先生は此処の講師だ
          世話になっている人間は少なからずとも居る。例えばアメリア、あいつは初等部から
         中等部まで世話になりっぱなしだぞ?それにあいつの財力は助けになるぞ?ははは!

ミカヅチ:軍資金目当てッスか!!?何かスゲェ情けねェ!

アルバート:冗談だ冗談。だがな、財力はともかく歴史には強い。国の姫なら伝説の話のひとつ
         ふたつは出てくるかもしれんし、何よりアメリアの戦闘力はお前も確認済みだろう?

ミカヅチ:・・・・・・えっ?姫?

アルバート:なんだ知らんかったのか?アメリアは10世目のアトランティス国王と王女の間に生まれた娘。
          だからその辺の国家公務員や富豪などの金持ちとはスケールが違う存在だ

N:な、なんだってー!

ミカヅチ:(だからリムジンで登校したりメイドロボ付いたりしてたのか・・・)

アルバート:まぁ本人の性格から見てたら普通の金髪美少女なんだがな。まぁあまりその事については
         気にしないでくれ、本人もその地位について特別扱いされるのが嫌いだから此処でごく普通の学生やってんだ。

ミカヅチ:成程・・・わかりました。一応声は掛けておきます

アルバート:後はそうだな・・・、ハーネルにも話はしておけ

ミカヅチ:ハーネルに?それこそ大丈夫なんスか?

アルバート:君の心配も分からんでもない、しかしハーネルは顔が広くてな。情報網の要になるかもしれん・・・。
          それに、君は格闘型の訓練を受けるからわからんかもしれんが、あいつに銃火器を持たせると
         右に出る者はまずこの学園には居ないだろうな、伊達に父親が王国軍の将校やってない

ミカヅチ:・・・想像つかねェ

アルバート:奴も性格がアレだからなァ、だが割と人情深くてな。居て損はまず無い

ミカヅチ:分かりました・・・。・・・この話についてはミズチには?

アルバート:うむ・・・彼女も一応巻き込まれている身だが、関係者だから話さざるを得ないだろう。
          だが本音では話さないで良い、あの子はまだ身体も戦闘力も未熟だろう?

ミカヅチ:はい・・・。それでは俺はこれで失礼します


N:同時刻、場所は変わってミカヅチ達の教室。
  生徒がガヤガヤと会話を弾ませる中、アメリアは独り考え込むように頬杖を机について俯いていた。
  紙パックのジュースをストローで飲んでいた相変わらずぐったりのハーネルが気付く

ハーネル:なしたアメリア、メシ頃からずっと考え込んでるな?

アメリア:うーん。なんかミカヅチさんの事が気になっちゃって・・・

ハーネル:前言撤回。メシ頃じゃなくそれならあいつと闘ってからずっと考え込んでるな

アメリア:ハーネルさん、前までいたコンゴウ先生の事覚えてる?

ハーネル:あぁ、ミカヅチの親父さんなんじゃねぇかって話だろ

アメリア:えっ!知ってたの!?

ハーネル:俺も薄々感づいてたんだよ。んでミカヅチがここへ来たのも恐らくコンゴウ先生絡みなんじゃねぇのかって

アメリア:コンゴウ先生、表向きでは休職だけど・・・やっぱり

ハーネル:消息不明・・・ってヤツかね。休職とはいえ既に2、3年経ってるからな

アメリア:お父様達もずっと気になっているらしいし・・・私達も動いた方が

ミカヅチ:おぅ、何の話だ?

2人:うわあぁあっ!!?

N:話しこむ2人の後ろにいつの間にか腕を組んだ状態で立っていたミカヅチさん
  アメリアは仰け反りながら素っ頓狂な声を上げ、ハーネルはジュースを吹き出しそうなってしまった

ハーネル:ゲホッ!ゴホッ!・・・何時の間に居やがったミカヅチ

アメリア:(全ッ然気配に気付かなかった・・・)

ミカヅチ:いや、俺も来たのはつい今なんだがな。そこまで驚くか普通・・・

ハーネル:まぁ、話す内容が内容だからな・・・

アメリア:ミカヅチさん、あの・・・確認したい事があるんですけど

ハーネル:おいおい、流石に早いんじゃないのか?

アメリア:大丈夫だよ。・・・ミカヅチさんのココに来た目(もく)・・・

N(校内放送):(ビーッ!ビーッ!)エマージェンシーコール!
            野生の中型魔獣の団体が研究棟の実験用魔獣舎(まじゅうしゃ)を襲撃!1〜2号舎の数十体が脱走しました。
            団体は獣舎を南下、校庭へ向け進軍している模様。本日の担当クラスは戦技科2年です!至急迎撃態勢へ!

ハーネル:・・・おいおい、今月入って2回目じゃねぇか?前回は数体だったのに、今回は団体規模かよ

アメリア:あっ、先生!

アルバート:規模は放送で言われた通りだ!今回は食い放題だぞ!

ハーネル:俺達ゃ直ぐにでも出られるぜ?

アルバート:よし!クラスAが先行、前衛を張ってこぼれたのをクラスB、Cが片付けろ!
          実験棟の魔獣も片付けて良いと許可は出ている。各自!魔力、抜刀、実弾使用許可!

アメリア:ねぇ、ミカヅチさん。ひとつ賭け勝負をしませんか?

ミカヅチ:賭け?

アメリア:単純に撃破数を競い。私が勝ったら、私の簡単なお願いを聞いてくれませんか?

ミカヅチ:・・・呑んだ。なら俺が勝ったら、少し気難しい願いを聞いてくれ

ハーネル:カウントは任せておけ、どの道結果は見えてそうだからな

アルバート:先行隊3名、校門まで前進のち迎撃開始!

アメリア:それじゃお先にっ!

ハーネル:あっ、おまっ!?出撃用ハッチが一人用なのを逆手に取りやがった!
                 んにゃろうめ・・・ってオイ!ミカヅチッ!?

N:階段の踊り場にある出撃用ハッチは一人ずつしか使用できないモノとなっており、二人目は
 かなりのロスタイムを生じる。何を思ったのかミカヅチさん、教室の窓(3階)から飛び降りちゃいました
  ミカヅチの脚に稲妻が走ると、校庭のフェンスに着地した途端、フェンスと骨組みが時空が歪んだような形になる。
  魔法化学科一年の教室。ミズチはフェンスに着地した瞬間のミカヅチを見つけ

ミズチ:お兄ちゃん・・・!?

ミカヅチ:突貫兵法・・・「雷脚振跳(らいきゃくしんちょう)」ッ!!!

アメリア:なッ・・・!?

ハーネル:無茶が過ぎるぜあの野郎・・・、ほぼ一瞬でカタパルトの加速に追いつきやがった・・・

アルバート:流石、身体強化の破天荒さはコンゴウさん譲りか・・・

ハーネル:っけねぇ!俺もとっとと出るぜ!

アメリア:(・・・やっぱり勝負なんて無茶すぎたかな?でも手数なら私が!)

ミカヅチ:生憎、分の悪くない賭けは大好きなんでね。分の悪い賭けも嫌いじゃねェが

アメリア:ふふっ・・・私もです。行きますよ!!

ミカヅチ:おっ、お出ましかい?・・・って、中型の割にゃ随分ゴツイこったなぁオイ・・・?

アメリア:えっ・・・えっ!?

N:唖然とする二人。先ほど校内放送で「中型魔獣」と言っていたが、蓋を開けてビックリ。
  中型なんて言うモンだから動物に例えるならサイとかダチョウとか、あれくらいを予想した
 であろうお二方。んで今から轟音をたて団体で向かってくるのは大きさに例えると
  ・・・・・・・・・ワンボックス自動車

アメリア:・・・他の隊にも少しお譲りしましょうか・・・?

ミカヅチ:なァに、これくらい用意してもらわねェと盛り上がりに欠けるだろう
        それにあんなモン撃ち漏らしてみろ、一瞬でコッチの体勢が崩れるぞ?

アメリア:ですね・・・それではミカヅチさん!ひと勝負いきますよッ!!

ミカヅチ:喧嘩上等ッ!

アメリア:勝負ッ!・・・(アローの連続射出で数を稼ぐ!)シャイニングアロー・マルチラッシュ!!

ミカヅチ:雷光円舞(らいこうえんぶ)・・・せェえりゃあああぁぁぁッ!!!

N:アメリアからは数十発の小型のアローが、ミカヅチからは雷を纏った刀の鞘が車輪を描き飛んでいく。
  だがその攻撃達は、魔獣から放たれる薄い膜のような障壁でいとも簡単に弾かれてしまった

アメリア:対魔術フィールド!?・・・って事は実験魔獣と野生の魔獣が疎らになっているの・・・!?

ミカヅチ:待てよ・・・?たしかに魔力は弾かれたが、俺の鞘はそのまま直撃するという事は・・・

アメリア:これじゃ魔力が使いものにならない・・・。完全肉弾戦で防衛なんて・・・!

ミカヅチ:聞けアメリアッ!可能な限り圧縮させた魔力を自分の得物に纏い膜を張れっ!!

アメリア:えっ?でも魔力は意味ないんじゃ・・・

ミカヅチ:所詮動物に使われているのは実験用の使い捨てフィールドに過ぎんだろう?
        ならば自身の魔力で中和し、後はそのまま格闘戦で斬り潰す!・・・往くぞ雷光ッ!!

アメリア:分かりました・・・。エレメント!我が血潮に宿る魔力の源よ、この手に形となれっ!

ミカヅチ:魔導斬一刀流が「迅雷」・・・推して参る

アメリア:距離50・・・来ますっ!

ミカヅチ:チェエェェェストォォオオオオオォッ!!!!

アメリア:はあぁあああああぁぁぁッ!!!

ミカヅチ:ぬ・・・っ!?

アメリア:しまった!魔獣が校門に!

N:アメリアが取りこぼした魔獣が三体、二人を退いて校庭へ入ろうと突撃していった。
  刹那、響いたのは数発の銃声。魔獣がバタバタと倒れていくと、その前に立っていたのは
 二挺の拳銃を構えたハーネルだった。

ミカヅチ:45口径(フォーティファイブ)か・・・!

ハーネル:残飯処理は任せやがれ2人とも!徹甲加工のダムダム弾をお見舞いしてやらァ!!

アメリア:着弾点を全くブレさせない程の精密射撃(シャープシュート)・・・すごい・・・

ハーネル:いいかお前ら!ほかのチームにゃ譲らねぇぜ!

ミカヅチ:承知!「雷暴斬鉄(らいぼうざんてつ)・追式『斬舞八段』」ッ!!

アメリア:ここからが本番ですよッ!

N:出る幕の全く無い他の生徒が唖然と戦場を眺める中。ひとり腕を組み口元に笑みを浮かべて見るアルバート。
  30体以上いた魔獣はものの十数分で全滅となっていた。最後の魔獣の胴を真っ二つにしたミカヅチは、
   刀身にこびり付いた血液を一振りで払い取り、目の前で鞘に収納する。

ハーネル:(※小声で)ぜんぜん別人だよな・・・未だにあいつ見てるとどっちがモノホンかわからねぇ

アメリア:うん・・・

ミカヅチ:ハーネル、互いの撃破数は?

ハーネル:ゑ(え")っ・・・!?あっ、あぁ・・・(ヤベェ全く数えてなかった・・・)

アメリア:私の負けですよ、ミカヅチさん

ミカヅチ:・・・えっ?いいのかよそんな適当で、複数戦はお前が上だったろうに?

アメリア:まぁ何というか、勝っても負けても結果は同じだと思ったんです

ハーネル:だとよ・・・。お前の勝ちだ、ホレ、頼みごとあンだろ?

ミカヅチ:あ、あぁ・・・。
        (※深呼吸)・・・昔ここにいた講師、コンゴウ・アザイは俺の親父で、今は表上休職扱いになっているんだ。
        だが事実、この国に眠るとある伝説の調査の末、行方がわからん状態になっている・・・。
        俺がこの地に降りたのは勿論、親父を探すため・・・

ハーネル:そして探す為には、情報不足で一人ではとても追いつけない

ミカヅチ:・・・ハーネル?

アメリア:だからお前等の能力情報力全てを、俺に託して捜索に協力してほしい・・・でしょ?

ミカヅチ:アメリア・・・

ハーネル:くっ・・・くっははははははっ!やっぱり同じだったか!

アメリア:あははははっ。やはり賭け勝負をする必要も無かったんですね

ミカヅチ:・・・どういうことだ?

ハーネル:お前がここに来た理由は、俺達は薄々気づいてたよ。コンゴウ先生を探しに来たって

アメリア:私達もコンゴウ先生にお世話になりました・・・。だから私達のお願いは、
       「コンゴウ先生の捜索で来たのなら、全面的に協力させてほしい」だったんです

ミカヅチ:お前等・・・

ハーネル:先生に言われたんだろ?任せておけよ!俺とアメリア等のネットワークは半端ないぜ?

アメリア:エリダンヌ家の財力と情報力その他諸々、ミカヅチさんにお貸ししますよ・・・。
        お父様方には私から話をつけておきます

ミカヅチ:・・・忝(かたじけ)ねェ、これから・・・頼む!

ハーネル:あぁ、改めて宜しくな大将!

アメリア:我らエリダンヌの騎士達、そして東洋の若き武人に、神の加護があらんことを・・・

N:ミカヅチは刀を前に差し出すと、アメリアはレイピア、ハーネルは銃身をミカヅチの刀に添える
  メロウ伝説およびコンゴウ捜索隊。第一段階はここに結成せり!

アルバート:さて・・・これから忙しくなりそうだ


N:さぁーて!再来月のメロウさんはぁー?

アメリア:お便りが届いています。「ミカヅチさんは二重人格なんですか?」

ハーネル:おい作者!お前が考えたんだろうが!俺らが知りてぇよこんちくせう!

アルバート:普段のミカヅチ君とサムライなミカヅチ君か・・・。お前はどっちが好みなんだ?

アメリア:なっ!なんでその質問になるんですかーッ!?

ミズチ:まぁ、物語進むにつれて分かると思います。・・・たぶん

アメリア:曖昧だなぁ・・・。でもやっぱミカヅチさんって年相応に見えないですよ・・・?

アルバート:次回「エリダンヌ家」、いやぁ4話にして物語の主軸に触れようとしたのかぁ

ミカヅチ:そういや最近あいつ見ねェな・・・?作者仕事しろよ



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