登場人物
♂ミカヅチ・アザイ 17歳 行方の分からぬ父親を探すため妹と共にヴァルハラへ転校してきた本編の主人公
意外とフランクな性格と見せかけて不真面目万歳の皮を被った「武人」。若干シスコン
♀アメリア・L・エリダンヌ 17歳 ミカヅチと同じクラスになる国のお嬢様だが、お嬢様という特別視を嫌う。
彼女自身もお嬢様には見合わぬ天真爛漫な性格をしているが魔法剣士の腕は一流
♀スティレット ?歳 普段はアメリアのメイドをしている、エリダンヌ家で製造された戦闘型アンドロイド。
腕には大量の銃火器が内蔵されている。若干ドジっ娘気質
♂ハーネル・レッドホーク 17歳 ミカヅチのクラスメイトでミリタリーマニア、不真面目代表
制服を着崩したりピアスをしている一見チャラい男だが、ミカヅチ同様なにかとアツいものを秘めている
♀ミズチ・アザイ 16歳 ミカヅチの妹、共にヴァルハラへ転校してくる。
重度のブラコン。ミカヅチを慕い、世話をするが少しの事で泣く娘
♀セーレ・ミカール 17歳? 何故かミカヅチのベッドで寝ていた幽霊。何故かミカヅチだけが見える。
ちょっと電波がかった謎の子
♂エリダンヌ国王 41歳 アメリアの父親にしてアトランティスを納める国王。親バカ
アルバート同様昔からコンゴウとの付き合いがある大らかで(色んな意味で)アグレッシヴなおっさん
※各キャラクターのもう少し練った詳細設定はコチラ※
役表(♂3:♀4:N1)
♂ミカヅチ:
♂ハーネル:
♂エリダンヌ国王:
♀アメリア:
♀スティレット:
♀ミズチ:
♀セーレ:
♂♀ナレーション:
スティレット:・・・検索終了、「魔導斬一刀流(まどうざんいっとうりゅう)」検索結果。
正式名称「アザイ家我流抜刀居合術(がりゅうばっとういあいじゅつ) 魔導斬一刀流」。創始者、コンゴウ・アザイ教諭
20年前、創始者がジパングで用いられている「示現流(じげんりゅう)」という流派、そして「抜刀居合」と呼ばれる技術を応用し、
魔力消費を抑えながらも対魔力攻撃を繰り出す、その名の通り「一刀で魔導を斬る」為に生み出された流派です。
2年前に創始者から伝承され、現継承者は血縁であるミカヅチ・アザイ様。
創り出されてからの期間が短く、我流ですからジパングではあまり有名な流派ではありませんが、
修錬過程の厳しさや目録の壮大性から、相当な業物(わざもの)でなければ流派修得は不可能とされています。
アメリア:目録・・・って、云わば試験のようなものよね?
スティレット:はい、一部掲載されていますのは「7.62mm機関銃1分(いっぷん)捌き」、「重量級魔導兵器の一刀両断」、
「魔力無使用での魔導師100人斬り」等・・・。常人ではまず不可能な項目ばかりですね。
アメリア:(・・・人間業じゃない・・・)
スティレット:一つ挙げられる疑問点ですが、ミカヅチ様は「迅雷」、コンゴウ教諭には「夜叉」と
会得者には2文字のその人物を表す言葉と、通常より長いサムライソードを使用する定めが
与えられるのですが、コンゴウ教諭はその長いサムライソードを使用していましたが・・・
ミカヅチ様は今現在、通常のサムライソードをご使用になられております。
アメリア:・・・確かに、アザイ先生の刀身はもっと長くすっきりしていたハズよね?
スティレット:ミカヅチ様に「迅雷」の名がある以上、長いものを使用しなければならないのですが・・・
アメリア:ミカヅチさんは・・・まだ完全な会得者じゃないと
(キンコーン)
スティレット:インターホンカメラチェック・・・。お嬢様、ミカヅチ様達がいらっしゃいました
アメリア:うん、入れてあげてちょうだい
アメリア:第五話「エリダンヌ家」
N:2時間程前のアザイ家。屋根には座って物思いに耽(ふけ)っているのか、遠くを眺めるミカヅチの姿がある。
暖かい風がさらりと前髪を撫でると、ミカヅチの横には水色の髪でツインテールの、あの幽霊が居た
ミカヅチ:セーレ?・・・お前、最近見ねェと思えば何処に居たんだ?
セーレ:街を・・・端から端まで巡っていたんです
ミカヅチ:街?そりゃまた、ご健闘なこったな
セーレ:私はこの街・・・アトランティスが好きですから、でも未だこの世に私が残っているのは分からないけど
ミカヅチ:・・・何かしろまだ未練があるんじゃないのか?自縛霊ってそんなモンだろう
セーレ:自縛霊・・・。私、どうやって自分の命を絶ったんだっけな
ミカヅチ:どういう意味だ・・・?
セーレ・・・私・・・人に戻りたい
ミカヅチ:・・・・・・はっ?
セーレ:よく考えたら未練だらけじゃない・・・!皆に見える身体で皆と学校に通いたい!
皆と勉強して、皆と遊んで・・・普通の身体で普通の恋がしたい・・・!
もう独りは嫌!!結局この世から消えたって独りで見てるだけじゃない!!!
ミカヅチ:・・・・・・
セーレ:私は・・・もうこの生活には耐えられない・・・私を戻して・・・!
助けて・・・私を解放して・・・。お願い・・・、私にはもうミカヅチさんしかいない・・・
唯一この身体を見る事ができる貴方しかいないの・・・。
N:大粒の涙をぽろぽろと零し泣きじゃくるセーレの隣、ミカヅチは空を見上げる。
風が2人の髪を揺らし、ミガヅチの長い前髪が目を隠すと、溜め息ひとつ
ミカヅチ:・・・俺がこの地に立った目的は親父の捜索だ。原因もよくかわかん死人(しびと)を
蘇生させる為だけにわざわざ遠い故郷から来た訳ではない・・・。
セーレ:うっ・・・ぐすっ・・・
ミカヅチ:悪いが・・・お前を一番に考えてやる事はできん
セーレ:うぅ・・・っ・・・どうして・・・
ミカヅチ:話を最後まで良く聞け
セーレ:・・・えっ?
ミカヅチ:俺はお前を「一番に」考える事はできんと言ったんだ。
セーレ:ッ!・・・じゃぁ・・・!
ミカヅチ:親父の捜索をしながら、ちょいちょい間を見つけては手伝ってやるよ。
・・・特に霊感持ちって訳じゃない俺にしかお前が見えないのも若干引っ掛かるからな
セーレ:ホントに?ありがとう・・・!
N:随分マセた言い回しですねミカヅチさん
ミカヅチ:まぁ・・・いつになるかもかわらんし、現状がほぼ不明のままだから辛抱してくれや
それにな、俺にお前が見えている時点で・・・お前は独りではない
セーレ:うん・・・うん!
ミズチ:お兄ちゃーん!そろそろ時間だよー!?
ミカヅチ:ん、もうこんな時間か。・・・悪いなセーレ、俺等これからアメリアの家に招かれてんだ
セーレ:そうですか・・・。私はまた、暫くどこか放浪してると思います
ミカヅチ:街を眺める為にか?・・・物好きだな、お前も
セーレ:いーえ、女の子にはいろいろあるんです
ミカヅチ:(・・・俺が死んでも一生わからん世界だなそりゃ)
N:セーレがふわふわとアザイ家から離れていくのをミカヅチは少し首を傾げながら見送る。
もう一度ミズチの声が聞こえると我に返り、屋根から庭へ飛び降りた
N:2時間後、エリダンヌ邸玄関口
ミカヅチ:で・・・・・・!
ミズチ:で・・・・・・!
ミカヅチ(ミズチ):でけェ(でかい)・・・!
ハーネル:おいお前等・・・おーい?戻ってこーい
N:元々アトランティスにある城の存在は知っていた2人だったが、エリダンヌ邸は
山の入り口と城の中腹部に存在する。・・・しかし何とも立派な豪邸であるため、
2人は開いた口が塞がらない状態。ハーネルが目の前で手をひらひらさせる
ハーネル:・・・まァ、無理もねーだろうな・・・
ミカヅチ:ミズチ・・・昔メディアで見た事あるがジパングとかにある豪邸は10億とか20億くらいだったよな・・・?
ミズチ:・・・比にならないよね、絶対
ハーネル:国家の主軸だからな、先生の言った意味が良く分かったろ
ミカヅチ:あぁ・・・重々理解したわ
ミズチ:あっ、開いた!?門が開いたよお兄ちゃん!
ミカヅチ:ハイテクすぎる・・・!
ハーネル:この国での生活大丈夫かこの兄妹・・・
スティレット:お待ちしておりました、皆様
ミカヅチ:スティレット・・・!ってそうか、アメリアのメイドだからな・・・
スティレット:・・・どうかなさいましたか?
ミカヅチ:あぁいや、何でも無ェ
スティレット:・・・?それでは、私がご案内致します
ミズチ:うわぁー・・・立派な庭・・・庭?
ミカヅチ:・・・俗に言う畑じゃねぇか?こっちは
スティレット:はい、こちらで使用される野菜類の半分は此処で作られています
ミズチ:えっ!?調理の人達が業者(ぎょうしゃ)から仕入れるんじゃなくて!?
ミカヅチ:ほぇー・・・、バリバリ無農薬の有機野菜ってところかい
スティレット:はい、国王様のご意向で10年ほど前から実施されています
ハーネル:国王さん、農業や畜産の知識が豊富だからなぁ。たしか敷地内に牧場もあったハズだぜ?
スティレット:えぇ、近々牛舎を拡大する予定です
ミカヅチ:ある意味スゲェ国家だ・・・
スティレット:では、室内へ
N:スティレットが建物の玄関扉を開けると、屋敷の玄関。一般家屋のリビングよりも広い玄関から
ずおーっと数十メートルに及ぶ廊下が敷かれていた。
廊下も廊下である。なんというかもう学校とかの廊下くらい広いのなんの、いや説明できないけどとにかく広いんです!
ハーネル:俺も久々に来たが、相変わらずこの家は陸上競技できるんじゃねぇかね・・・
ミカヅチ:材質がカーペットだから、踏ん張り効かないだろうな
ミズチ:指摘する場所そこなんだ・・・
N:長い長い長い廊下を一行が歩き進んでいると、後ろの方で扉が開く音がした。
スティレットが後ろを振り向くと同時に皆も釣られ向く。ひとりの男性が姿を現し
一向の存在に気付くと手に持っていた荷物を置いた。
スティレット:国王様、お疲れ様です
ハーネル:ご無沙汰ッス、国王さん
エリダンヌ国王:スティレット、お客様かね?・・・おぉハーネル君か!いやぁ久しぶりだな。
そちらの方々は見ない顔だ・・・はっ!?
スティレット:・・・国王様?
エリダンヌ国王:こッ・・・コンゴウ殿!?何故ここへッ!?
ミカヅチ:えっ!?
ミズチ:へっ?お父さん!?
スティレット:国王様、人違いです
エリダンヌ国王:なんですとぅ?
スティレット:前にもお話しました通り、この春こちらへ転校してきたミカヅチ・アザイ様です。
ざっくばらんに言い表しますと、アザイ教諭のご子息に当たります
ミカヅチ:ははは・・・どうも
エリダンヌ国王:おぉお・・・そうか、君がコンゴウ殿の倅(せがれ)か!
いや失敬、昔のコンゴウ殿にそっくりだったもので・・・一瞬タイムスリップでも
したものかと思ってしまったよ。はっはっは!
ミカズチ:(先生もそうだったが、そんなに似てんのか昔の親父と・・・)
エリダンヌ国王:ん?こちらの御嬢さんは・・・?
スティレット:ミズチ・アザイ様、ミカヅチ様の妹です
ミズチ:よ、よろしくお願いしますっ
エリダンヌ国王:おぉ・・・2人ともしっかりした御方だ。アメリアを宜しくな!
ミカヅチ:あ、はい・・・(・・・それは良いとして)
ミズチ:(良いんだけど・・・)
ミカヅチ:(何故(なにゆえ)・・・)
ミズチ:(国の王様が・・・)
アザイ兄妹:(作業着ーーーーーッ!!?)
N:ハイそうです、エリダンヌ国王の現在の服装を説明致しますと
上から麦わら帽子、薄い緑色の作業ツナギに軍手、黒いゴム長靴。どう見ても農家の人間の格好です。
ファーストコンタクトから破壊力抜群ですねこの国王
ハーネル:国王さん、やっぱ初対面がその姿だとね・・・?
エリダンヌ国王:ん?あぁこんな姿で失礼、これから畑で水撒きと手入れがあるものでね
ミズチ:えっ!?あの畑は国王様がお世話しているんですか?
エリダンヌ国王:あぁそうだとも。厳密にはここの作業員と1日交代で週に3日を私が見ている。
やはり自ら赴(おもむ)いてマメにチェックしないとな!
ミカヅチ:アグレッシヴすぎる・・・
エリダンヌ国王:スティレット、私は夕方から牛舎へ行くのだが
スティレット:トラクターの燃料補充とベーラー換装は完了していると整備班から連絡を受けています
エリダンヌ国王:御苦労。では皆もゆっくりしていってくれ、はっはっは!
N:高笑いと共に国王が外へ消えると、アザイ兄妹はまたしても開いた口が塞がらない状態である
スティレット:行きましょう、お嬢様がお待ちです
ハーネル:・・・そうだな
N:1分47秒後
(コンコン)
スティレット:失礼します。お嬢様、ミカヅチ様達をお連れ致しました
アメリア:お疲れ様。ところでスティレット、お父様の笑い声が響いてたんだけど・・・
スティレット:・・・予想通りです
アメリア:ははは・・・お騒がせしました。まぁ、改めましてようこそ!ささ、どうぞどうぞ
スティレット:お茶を準備して参ります、少々お待ち下さい
ミカヅチ:あぁ、お構いなく
ハーネル:ココに来るのは、冬期休暇の最終日振りだなぁ・・・
アメリア:ハーネルさん、宿題全く手を付けてなくって最終日になって「写させてくれ!」って転がり込んで来たんですよ
ハーネル:バカ!事細かく言うなよ!
ミカヅチ:何をしちょるんだお前は・・・
ハーネル:ほら・・・アレだ、ニューイヤーボケってやつ?
ミカヅチ:お約束っちゃお約束だろうな、なんかお前がマトモに独りで勉強している姿が思い浮かばんぞ
アメリア:言われてみれば・・・そうですね
ハーネル:普通にひでぇ・・・!
ミズチ:お兄ちゃんも長期休暇は宿題やらずダラダラしてるじゃない・・・
ミカヅチ:何を言うか、俺は独りでも問題は解けるぞ?泣きつく真似はせんぞコイツみたいに
ハーネル:普通にひでぇ・・・!
スティレット:失礼します、お茶をお持ち致しました。丁度、王妃様のお作りになられた
クッキーが焼き上がりましたので宜しければどうぞ
ミズチ:わぁーっ!美味しそう!
アメリア:お母様、朝から見ないと思ったら厨房に籠ってたのね
ハーネル:んじゃ、遠慮なく
N:お茶をすすりながらキリン午後の紅茶タイムを世間話で固める一行
時計の分針が一回りしたところで、ようやく本題へと入る
スティレット:先日ご宿題頂きました「メロウ」の伝説についてですが、こちらで調べられる範囲で検索を掛けました
・・・こちらの資料をどうぞ
ハーネル:ちゃっかり全員分印刷してんのな・・・
スティレット:まず「メロウ」という花はアトランティスの神話に出ている花と、その花を司る神の名である事。
花の名はそのまま「メロウ」、そして神は「メロウ神(しん)」と名付けられています。
・・・ただ、神話については様々な解釈が入り混じっておりまして、全てが確証されていないのです。
何通りもある言い伝えから統計を取りました所、共通されている部分がいくつか・・・、
まずアルバート教諭も話しておられました「海面に咲く華」である事。
後は「未来・他人等を操る」・・・云わば時空系列の操作、そして「死者の蘇生」、
分かりやすく伝えるならば、要は「願いを叶える事ができる花」という事です
ミカヅチ:(未来操作・・・死者の蘇生・・・)
ハーネル:この国ってバカみてぇに遺跡があるよな?それも何か関係してんのか?
スティレット:はい、言い伝えでは「メロウ」の奉られる遺跡ですが、その遺跡の数が多い事から
本物の遺跡はごく少数で、残りの遺跡は魔獣の潜むフェイクであると考えられています
アメリア:普段は立ち入り禁止区域で、遺跡調査チーム等は考古学研究所を通してお父様、国王への申請が必要なんです。
・・・ここ最近、盗賊等の遺跡荒らしが多発していて何度も事件が起こっているので
ミカヅチ:しかし俺達はその遺跡に行かざるを得なくなっているようだな・・・
ハーネル:のようだな、こうも漠然とされちゃあ後は俺等自身が自分の眼で確かめるしかなさそうだ
N:約一名、話に付いて行けてない人がいます
ミズチ:・・・・・・あー・・・?
ミカヅチ:ミズチ、お茶こぼすぞ?
ミズチ:・・・え?うわっととと・・・!
アメリア:どうしたの?随分お花畑になっちゃってるけど
ミズチ:いや、その・・・お兄ちゃん、コレは一体何の会話?
アメリア:え"ッ・・・
ハーネル:おいミカヅチ、お前まさかミズチに今回の事話してねェとか言わないだろうな・・・?
ミカヅチ:勿論、忘れてた
ハーネル:ひでぇコイツ
ミカヅチ:まぁ聞け。俺の親父を探すのに況してや魔獣の居る危険な遺跡に行こうってんだ。
お前等は強いから問題ないがミズチは戦闘力も精神もまだ半人前、果たして人ひとり庇いならが調査ができるかって話だ
ミズチ:うっ・・・
ミカヅチ:そりゃ俺も悩んださ、コイツの事だし元々の目的が目的だからな・・・。親父を捜索するっつったら行くと答えるだろうとな。
ただ予感している事は生憎重いモンばかりでな、この先笑ってられんような気がして、おちおち連れて行くのもどうかと思い始めた
ミズチ:でも・・・!私も行かないとここまで来た意味は・・・
ミカヅチ:お前を実家で独りにするワケにもいかんからな・・・。だから急拵えで技術を身に着けさせた。
しかし実戦となれどそれを扱いきれるかは難しい所なんだ、お前の性格だしな
ミズチ:でも!私も皆と一緒に行きたい!お兄ちゃんが戦う術を教えてくれたんだもん!
お父さんを探せるかは別だけど・・・自分の身くらい守るもん!
・・・それに一人頭の負担くらい軽く出来ないと、お兄ちゃんのからだ
ミカヅチ:(※間髪入れずに)ミズチッ!!!
ミズチ:ひッ・・・!?
N:全員が凍りついた。声を荒げたミカヅチの後の、静寂した数秒が別の世界にいるようだと他の3人は感じただろう。
ハーネル:(これが・・・ミカヅチの威圧感か・・・)
ミカヅチ:はァあ・・・誰に似てこんな頑固になったのやらねェ・・・?
まぁ、こういうワケでね、今連れて行く事に決めたけど・・・あくまでも補充要員だな
ミズチ:う・・・うん
スティレット:あ、はぁ・・・そうですか
アメリア:となると・・・レベッカにも伝えた方がいい方向なのかな?
ミズチ:え?レベッカもですか?
アメリア:あの子はね、ああ見えてマーシャルアーツを使いこなせるのよ。体術なら私より遥かに上よ
ミカヅチ:まぁ、ミズチの言うとおり頭数がいりゃ各個の負担も軽減するだろうな
スティレット:お決まりですね、チームはアルバート教諭とミカヅチさんを筆頭に合計7名。
後ほど調査の概要と共に、国王様へ申請をして参ります
(ガラッ!)
エリダンヌ国王:話は聞かせて貰った!
ハーネル:ぶふぉッ!?
アメリア:お、お父様!?
N:某オプーナの如く扉を開けて登場した作業着のおっさん。
ちなみにガラッと横開きの音がしましたがアメリアの部屋は引き戸です
エリダンヌ国王:うむ・・・やはり君達が来たのはコンゴウ殿を探す為であったか。
アメリア、そうなら最初から言って貰っても良かったのだぞ?
アメリア:まぁ、混乱を招かないようにしてたんだけども・・・。
エリダンヌ国王:内容は概ね(盗み聞きで)理解している。スティレット、申請はいらぬぞ、今この場で許可しよう
ハーネル:(この人はどのあたりから聞いていたんだろうか・・・)
エリダンヌ国王:エリアの制限もしない、行きたいところ調べたいところは好きに行ってくれたまえ。
車両、その他機材の使用も制限解除とアルバート教諭に伝えて欲しい
スティレット:畏まりました。では、遺跡内の写真データも追々撮って参ります
エリダンヌ国王:頼んだ。ネットワークと書物を駆使してこちらでもある程度は調べよう
ミカヅチ:・・・忝い!
エリダンヌ国王:・・・まぁ私にできるのはこれくらいのほんの些細な部分だけだ。
ミカヅチ君、アメリア達を頼むぞ!
アメリア:お父様!・・・もうっ
ハーネル:さて、決まる事は決まった事だし・・・俺等も帰(け)ェるか?
ミカヅチ:そうだな、お暇(いとま)しますかい
N:気付けば日も落ちて月明かりが夜を照らす。エリダンヌ邸の玄関から3人を見送ったアメリアは月を見上げて
アメリア:(ミヅチちゃんが言いかけた事、何だったんだろう・・・?)
ハーネル:んじゃ、俺はこっちだから。また明日なー
ミカヅチ:おう、気ィつけてなー
ミズチ:おやすみなさーい!・・・もう暗いし、お腹空いてきたね
ミカヅチ:だな、帰ってメシにするかねぇ
ミズチ:・・・ごめんね、お兄ちゃん。分かってたんだけどあんな我儘言って・・・
ミカヅチ:気にするな、怒った俺にも分がある。・・・お前を守って斬り進むくらい大差ねぇさ
ミズチ:その、あと・・・
ミカヅチ:・・・まだ時ではない、身体の事は誰にも言うなよ?
ミズチ:うん・・・分かった
セーレ:遂に遺跡への捜索を開始したミカヅチ達、森・海・滝の中、様々な場所に散らばる遺跡。
一つ一つ行っては埒があかないと考えるミカヅチに、一つの組織と情報が舞い込んで来る。
第六話「ガンスリンガー」。伸るか反るか、その選択肢はまさしく命のギャンブル
N:え?コミュ回もう終わり・・・?
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