登場人物
♂ミカヅチ・アザイ 17歳 行方の分からぬ父親を探すため妹と共にヴァルハラへ転校してきた本編の主人公
意外とフランクな性格と見せかけて不真面目万歳の皮を被った「武人」。若干シスコン
♀アメリア・L・エリダンヌ 17歳 ミカヅチと同じクラスになる国のお嬢様だが、お嬢様という特別視を嫌う。
彼女自身もお嬢様には見合わぬ天真爛漫な性格をしているが魔法剣士の腕は一流
♀スティレット ?歳 普段はアメリアのメイドをしている、エリダンヌ家で製造された戦闘型アンドロイド。
腕には大量の銃火器が内蔵されている。若干ドジっ娘気質
♂ハーネル・レッドホーク 17歳 ミカヅチのクラスメイトでミリタリーマニア、不真面目代表
制服を着崩したりピアスをしている一見チャラい男だが、ミカヅチ同様なにかとアツいものを秘めている
♂アルバート・ブーン 38歳 ミカヅチのクラス担任。就任15年目のベテラン教師
スーツをラフに着こなし、そこから見える逞しい肉体と煙草がトレードマーク。
♂遺跡研究員(名無し) 20〜30代 アトランティス遺跡研究所の調査チームに所属する助教授。
アメリアとアルバートとは一応顔見知り
♂??? ?歳 マッドサイエンティストな謎の人間。たぶんガンスリンガーの首領
♀量産型ST ?歳 外見がスティレットに似た戦闘型アンドロイド、たぶん量産型なんじゃねーの
※各キャラクターのもう少し練った詳細設定はコチラ※
役表(♂4:♀2:N1)
♂ミカヅチ:
♂ハーネル:
♂アルバート:
♂遺跡研究員/???:
♀アメリア/量産型ST:
♀スティレット:
♂♀ナレーション:
N:暗い部屋の中に大量のモニターが並び、画面の光だけが部屋を照らしている。
そのモニターを一人の男が眺め、その見る先には遺跡に居るミカヅチ達の姿があった。
???:私は君に巨額の資金を費やして完成させた・・・。だが最近通信が無いと思えばこんな所に・・・。
・・・アレは誰の手にも渡してはならぬ、その為に誰よりも先に我々が手に入れなければならんのだよ。
「01(ゼロワン)」に出来なかった技術が君には入っている、そして私も君の働きにはちゃんと期待している。
・・・仮に採られてしまっても縊(くび)り殺して奪えば良い・・・。使命を果たせ、「02(ゼロツー)」
スティレット:第七話「Machine&Blade(マシン&ブレード)」
N:遺跡内部。暴れ出した魔獣の掃討が、まるで地獄絵図のように行われている。
ミカヅチが斬り裂く。ハーネルとスティレットが撃ち墜とす。アルバートが殴り飛ばす。
後ろで怯えながらも必死にサンプルを採取する者、そしてただペタリと腰が抜けて動けぬ者。
―――銃声が鳴り止む。最後の魔獣が今にも消えそうな呻き声を挙げその場に倒れる。
ミカヅチが刀にこびり付いた血を振り払い、鞘に納めると、ハーネルの膝ががくんと落ちた。
ハーネル:ぅ・・・ッゲホッゴホッ・・・!
スティレット:ハーネル様・・・
ミカヅチ:大丈夫か?
ハーネル:ゴホッ・・・あぁ、悪ィ・・・ちょいネジ外し過ぎちまったかな
ミカヅチ:・・・まァ、無理もねェだろ
アルバート:人間の遺体、人間の殺される様、その人間が魔獣になる・・・
そしてその魔獣を・・・だからな。普通の人間なら、失神してもおかしくはないだろう
ミカヅチ:(・・・本当に普通なら、一項目で落ちるな)
スティレット:ハーネル様、お水です
ハーネル:サンキュ。・・・んくっく・・・ッぷはぁぁ・・・。
・・・そうか、これがお前の見てきた世界か・・・
ミカヅチ:・・・世界?
ハーネル:あのコンゴウ先生が行方不明になるような目的に俺たちゃ絡んでんだ
・・・言っちゃ悪ィが、「血塗られたドス黒い世界」ってヤツか
ミカヅチ:・・・悪い。本当は俺だけでやるのがスジなんだろうが・・・
ハーネル:バータレ、こんなもん一人でできるワケねぇだろ
何のために俺達に協力頼んだんだよお前、大事な事だけ一人でやろうってのかい?
ミカヅチ:ハーネル・・・
ハーネル:それによ、言ったぜ?「俺は後にゃ退けねェ」・・・ってよ
あン時トリガー引きながら思ったんだ。鬼だろうと悪魔だろうと・・・人だろうと撃てるってな
アルバート:そうなって貰わんとな。・・・それに当分、約一名は使えないだろうからな
N:アルバートの視線を2人も視線で追うと、ヘタリと腰を落して動けない少女。
目尻には涙が伺え、半(なか)ば放心状態にも見えた。はっと我に返ると、溜めた涙が一筋、頬に伝う
スティレット:お嬢様・・・
アメリア:スティレット・・・私・・・わたし・・・
スティレット:大丈夫です、お嬢様・・・もう済みました
アルバート:・・・19時過ぎか。よし、先へ進むぞ
スティレット:しかし、お嬢様がこれでは・・・
アルバート:問題無い、4人も使えるんだ。2人守るのくらい事容易(ことたやす)いだろう
研究員:しかし・・・奥となると、これ以上の魔物や危険が・・・
アルバート:無論、叩き潰して進むまでです
(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・!)
アルバート:むっ・・・!?
アメリア:な・・・何!?
N:轟音とともに地震のような揺れが発生すると、一行(いっこう)が入ってきた入口が
降りてきた石壁(せきへい)によって塞がれてしまう。そしてアメリアは発した光の球はみるみる明るさを失い
研究員:閉じ込められた・・・!?
アルバート:雑念を払えアメリア!お前が魔力を結合しないで誰が照明を出すんだ!
アメリア:は、はいッ!
アルバート:よし、一つをこっちの壁際に寄せてくれ
研究員:教諭、どうするつもりですか・・・?
アルバート:入口が塞がれたのと同時に、先に進む道も見失ってしまいました
石壁(せきへい)を叩き、音が違う部分がおそらく塞がった部分ですから、破壊して進みましょう
スティレット:障壁の破壊なら私が・・・
アルバート:いや、限りある弾薬は温存しておきたい。・・・俺に任せろ
その代わり、お前の赤外線センサーで壁が薄いか厚いかを見てくれ
スティレット:それですが、丁度アルバート教諭の触れている部分が、壁の温度が違う部分ですね・・・
アルバート:ここか・・・。・・・よし、皆離れていろ
ミカヅチ:・・・?
ハーネル:おぉ!先生の拳(けん)、久々に見れるのか!?
アルバート:アホたれ、見せモンじゃねぇぞ?あーホレ離れてろ、巻き込まれるぞ
ミカヅチ:ハーネル、先生ぁ何しようってんだ・・・?
ハーネル:ま、見てろって
スティレット:魔力持ちの人間が大を占めるアトランティスでも、希少な使い手・・・
「インビジブル・マジア」、俗に言う「見えない魔力」の術者
アルバート:ふぅうぅぅぅぅぅゥゥゥ・・・・・・ッ
ミカヅチ:見えぬ・・・魔力?・・・・・・ッ!?
スティレット:・・・ミカヅチ様?
N:壁の前で構えを取ったアルバート。ひと呼吸を整えると、握られる右拳
ギリギリと音が響き岩石のような腕が血管を浮かばせながら腫れあがる。
ミカヅチは見た。アルバートに纏う蜃気楼のように白い気迫のオーラを
ミカヅチ:(・・・恐らく皆には先生の纏うオーラが見えんだろう・・・。
俺も久方ぶりに見る・・・。あれは単純に魔力を纏いできたモノじゃない・・・
「拳気(けんき)」、そして「闘気」・・・!威圧そのもの・・・!)
アルバート:・・・パイルバンカァァァアアアアアァッ!!!
N:拳一発。吼えたアルバートから放たれた右腕の砲弾が壁を捕えると、そのまま拳が壁にめり込む。
同時に轟音をかき鳴らしながら次々と着弾点から亀裂が広がり、そのまま崩れ落ちた
一仕事終えたアルバートは、胸ポケットから煙草を一本取り出し、火をつけて一服する
アルバート:・・・ふぅっ
研究員:本当だ・・・通路がある!
ハーネル:さっすが先生!一撃だぜ!
ミカヅチ:(ガラにもなく冷や汗が出た・・・。そういえば親父に聞いたことがあった、
・・・見えぬ魔力は若干俺達に似た性能があると・・・、しかしそれの使い手は
云わば「身体に無害のドーピング」・・・。限界を知らぬ分使い勝手が良すぎると)
ハーネル:どうしたミカヅチ、今の一発でビビっちまったか?
ミカヅチ:・・・魔力使わずとも急所に拳一発で魔獣が死ぬのだとひと目で分からァ
アルバート:むっ・・・。やはり予想通り分かれ道が出てきたか・・・!
スティレット:左右に分かれ道・・・。ダメですね、この先深いですから広域スキャンが届きません
アルバート:ふむ、止むを得んな・・・。早速だが分かれて捜索しよう
ハーネル:折角だから、俺は右の扉を選ぶぜ!
アルバート:いや、扉ねーだろ
スティレット:では、私達は左側ですね
アルバート:成るべく30分以内でカタつけて、改めて此処に集合しよう
ミカヅチ:心得た
アメリア:ハーネルさん・・・ミカヅチさんっ・・・やだっ行かないで・・・!
スティレット:お嬢様・・・落ち着いてください。
アメリア:でも・・・でもっ・・・!
スティレット:・・・ハーネル様、これを・・・
ハーネル:ん?・・・レシーバーか。まぁ姿見えんが声さえ聞こえりゃ十分だろ
ミカヅチ:そっちのはアメリアにでも付けてやってくれ
スティレット:はい・・・お気をつけて
ミカヅチ:助教授、少し走ります。・・・はぐれぬようお気を付けを
研究員:わ、わかった・・・!
N:ミカヅチ、ハーネル、助教授の3人が駆け足で薄暗い道へ消えていく
アルバートが短くなった煙草を吐き捨てると、腕の時計に目をやる。
・・・制限時間は30分。ひとり難しい顔をして
アルバート:よし、俺達も先を急ごう。ハーネル!通信は届いているな!?
ハーネル:地下のクセに電波良好!安心しろよなアメリア!
アメリア:ハーネルさん・・・。・・・うんっ!
・・・スティレット、もう大丈夫。一人で歩けるから・・・
スティレット:畏まりました。赤外線暗視とサーモグラフを起動します
N:ミカヅチチーム。アメリアの光を連れて3人が駆け抜ける
研究員:しかし凄いね君達は・・・。魔獣を物ともせず掃討できるなんて。
民間軍事企業や王国親衛隊に推薦で行けるんじゃないかな?
ハーネル:いやなに、俺ぁ半ばがむしゃらにやってるようなモンっすよ・・・。
ミカヅチみてぇな道を知らなかったから、戦闘力が特別高いワケでもねぇし
ミカヅチ:だがシューターとしては良い腕だ。先の乱射だってそうだ・・・
ただバラ撒いてるだけかと思ったが、全部ドタマに命中してたじゃねェか
ハーネル:ったりめぇだ。タマ取んなら狙うトコなんてドタマか心臓しかねぇだろ?
ミカヅチ:成程・・・違(ちげ)ェ無ぇや
(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!)
研究員:うわっ!?また振動・・・!
ミカヅチ:ッ!?ハーネル後ろだッ!!
(ドン!ドンッ!)
ハーネル:・・・チッ、外したか。・・・見たかミカヅチ
ミカヅチ:あぁ、明らかに違うな
研究員:な、何がだい・・・?早過ぎて何も分からなかった・・・
ミカヅチ:気配を全く感じなかったんですよ、俺が捉えられたのも後ろを見た時の偶然です
ハーネル:俺もほんの一瞬だが眼光を捉えた・・・。だがありゃ魔獣、いや生物のじゃねぇな
研究員:つまりそれって・・・機械って事?
ミカヅチ:もとい・・・魔導兵器って所か
ハーネル:こちらハーネル。先生、ちょいと不可解な事が起こった。
おそらく魔導兵器らしいモンがコッチに潜んでやがるぜ?
アルバート:魔導兵器だと?
ハーネル:さっきの振動の後、ミカヅチに気付かれないレベルに気配消して俺の後ろ獲りやがったんだ。
撃ち逃しちまったけど影は見えた、ありゃ有機物の目じゃねぇ・・・。
アルバート:おかしいな・・・遺跡には魔獣だけじゃなく魔導兵器まで潜むのか・・・
・・・わかった、成るべく警戒しながら調べてくれ
(ズドォォォォォォンッ!!!)
アメリア:っきゃあぁあああぁっ!!?
ハーネル:うぉあぁぁぁあっ!?
研究員:うわぁぁぁっ!?
N:突如爆発音のような轟音を響かせ、天井が崩落する。
間一髪で下敷きは免れるも、ハーネルは緊急回避の際に無線機を落し、瓦礫の下敷きにしてしまった
アルバート:ハーネル!ミカヅチッ!おい聞こえるか!?応答しろ!
アメリア:ハーネルさん・・・ミカヅチさんっ!?お願い返事をして!
アルバート:・・・チィッ!スティレット!・・・ん?おい!スティレット!?
スティレット:私は大丈夫です・・・。ですが、完全に瓦礫ではぐれてしまいました
アルバート:なんてこった・・・。どうやら俺とアメリアで瓦礫を除ける作業に追われなきゃならんな。
スティレット、向こうの応答が無いんだ。悪いがあいつらの方を見てきてやってくれ!
スティレット:・・・・・・畏まりました
アメリア:みんな・・・無事でいて・・・!
N:崩落直後のミカヅチチーム。砂埃が充満し、完全に瓦礫で道は塞がれていた。
ハーネル:ゲホッゲホッ・・・!・・・おい、大丈夫かみんな
ミカヅチ:一番前を走っていたのが不幸中の幸いだったか・・・。・・・ん?教授!?どこですか教授!?
研究員:いたたたた・・・。はっ!?道が塞がれている!みんな大丈夫!?
ミカヅチ:こちらは無事です、しかし閉じ込められたのは俺達の方か・・・
ハーネル:レシーバも潰しちまって、向こうとも連絡つかねぇしな・・・
研究員:2人とも、僕は一旦さっきの合流地点に急いで戻るよ!もしかしたら先生達が戻ってるかもしれない!
ミカヅチ:向こうも崩落してなけりゃ恐らく戻ってくるだろうな・・・コッチは俺達がなんとかします
研究員:分かった!
N:助教授が走っていく音が消えると、塞がれた道に残された2人。
瓦礫の量は相当多いらしく、実際助教授の声もかなり遠くで聞こえていた
ハーネル:さて、どうしたモンかね
ミカヅチ:兎に角、この瓦礫共をどかさねェ事には話は始まらんな・・・。
・・・お前の手榴弾でも無理か?
ハーネル:ダメだな、破片爆散型じゃ行けて表面ブッ飛ぶくらいだ。・・・八方塞がりだなァ
(ガガガガガンッ!)
ミカヅチ:何ッ!?
ハーネル:さっきの野郎どもか!次ぁ逃がさねェ!
(ドンッ!ドンドン!)
ハーネル:っ・・・速ェ!?
N:ハーネルが拳銃を数発放つも、全て外してしまう。
薄暗い空間の陰に隠れる魔導兵器から見えたものは、黒く光るバレルがひとつ。
ハーネル:銃火器持ちだとォ!?
(ドガガガガガガガガガッ!!!)
ミカヅチ:うおぉあぁッ!?
ハーネル:ンの野郎ォッ!!喰らいさらせ!
(ドンドンドンッ!ドドドドドドドド!)
ミカヅチ:避けろハーネルっ!!ッ・・・魔導斬一刀流ッ・・・!
ハーネル:しまっ・・・!?
(ガガガガガガガガガガガガンッ!!!)
ミカヅチ:ぬゥえェりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃあァァァアァッ!!!!!
N:ミカヅチが「雷脚振跳(らいきゃくしんちょう)」で一瞬にしてハーネルの前に着地すると、
魔導兵器から放たれた7.62mm弾の雨を怒号と共に刀で全て斬り払う。更に身体に雷を発生させた
ミカヅチは、左手を刀身に滑らせ
ミカヅチ:「電光石火(でんこうせっか)」・・・駆(はし)れぃいいいッ!!
N:ミカヅチが撃ち出した磁場のエネルギー波が遂に魔導兵器を捉える。
吹き飛ばされた感覚から、魔導兵器は想像していたものより遥かに小さく軽かった
そして明るみに姿を露(あら)わにした小型の魔導兵器の目は、2人が見慣れたハズの目
ハーネル:おい・・・冗談だろ・・・!?
ミカヅチ:スティ・・・レット、なのか・・・?いや違う、何かがおかしい・・・!
ハーネル:あぁ、あいつは確かにこっちには来なかったハズだぜ?
ミカヅチ:それにあまりにも姿や目が機械的すぎる・・・ボディの素材が剥き出しじゃねぇか
(ガコン・・・ガシャッ!)
量産型ST?:・・・対象を殲滅(せんめつ)・・・実行
ミカヅチ:なッ・・・!
ハーネル:こいつもM134(エムいちさんよん)積んでやがんのか!?やっべェ逃げろ!
(ヴヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!)
ハーネル、ミカヅチ:のォおおおおおおおおおおおぉッ!!?
ミカヅチ:ハーネル右だっ!
ハーネル:1げとズサーッ!!
量産型ST?:対象を目視できず・・・捜索開始
ミカヅチ:チッキショウあぶねェモン積みやがって、何処の馬鹿だよ・・・
ハーネル:おいミカヅチこんちくせう!さっきみてェに斬り払って潰しちまえよ!
ミカヅチ:無茶言うなバッケローイ!分間2000発のバルカン捌くのなんざ親父でも無理だっつの!
ハーネル:いや分間750発の機銃を捌く時点で人間業じゃねぇけど・・・ッミカヅチ!?
ミカヅチ:ッ!・・・ふんっ!
N:ミカヅチが抜刀した刀を横一閃に振るうと、金属を弾いたような感触が伝わる。
魔導兵器は2人の後ろにいたハズだが、もう一体の魔導兵器が着地し、ダガーを構える
ミカヅチ:スティレットが2人・・・!?
ハーネル:マジかよ・・・俺ら帰れんのかコレ?
ミカヅチ:(あの目は確かにあいつの目だが・・・どうもキナ臭い目をしてやがる)
???:フフフ・・・フハハハハハ・・・!よく来たな、魔導斬一刀流の使い手よ・・・
ミカヅチ:・・・ッ!?
ハーネル:なんだ・・・?あいつらから音声流れてんのか?・・・何モンだテメェらァ!
???:別に名乗るような大層なものではない、それに君達は先程知ったハズだがね・・・?
ミカヅチ:・・・貴様らが「ガンスリンガー」という事か
???:フフフ・・・。まぁ君達の人生は今此処で潰える事になるのだから、少しお話といこう・・・
紹介が遅れたな、このマシン共は「量産型ST」。私の作品だよ、先行量産機だから今は試験段階だがね
・・・主に施設警備や拠点制圧に使われる。心の無い機械だ、「人間を始末する」能力に関しては
一級品ともいえよう。有象無象(うぞうむぞう)の躊躇なく、この子たちは君達を始末してくれよう
ハーネル:・・・まさか人喰い魔獣を叩いた次に出るのが殺戮(さつりく)マシンだとはな・・・
ミカヅチ:(量産型ST・・・ST?・・・いや、まさかな・・・)
・・・話は終わりか?俺達はここでくたばれる程、暇でも無力でもない。
「メロウ」について、色々吐き出させなければならんのでな・・・!
???:知りたければ力づくで聞き出してみるのだな。・・・もっとも、このマシンを破壊できればな!
STシリーズよ、目標前方2名。肉塊に化すまで滅殺せよ!
量産型ST:任務了解・・・アクション
ミカヅチ:格闘型は任せたぞハーネル!俺は射撃型を叩き潰す・・・!
ハーネル:オーライ相棒!スティレットじゃねぇ量産機如きに遅れは取らねェ、行くぜェッ!!!
ミカヅチ:仮に、もしも本物のスティレットが混ざっていたら?
ハーネル:全力で謝罪する!
ミカヅチ:承知ッ!魔導斬一刀流・・・「雷暴斬鉄(らいぼうざんてつ)」!
N:ミカヅチが稲妻の如き速さでSTの脇を突き抜ける。その隙に放たれた横薙(よこなぎ)の一閃、
バルカンの銃身を真っ二つに斬り裂くも、STは左腕の機銃をミカヅチに向ける。
ミカヅチ:弾の無駄だぞ?
(ドドドドドドドドドドドド!!!)
ハーネル:チッ・・・チョコマカとすばしっけェ奴だ。コッチのライフル弾まで無駄んなっちまうぜ!
・・・っておわぁッ!!・・・んぬぬぬぬ・・・!!!
量産型ST:・・・命令を実行します
ハーネル:うっせェ!おぉおりゃあぁぁぁッ!!!
(ドカッ!ドンドンドン!パキィッ!!)
N:接近戦に持ち込まれ、ライフルの銃身とダガーで競り合っていたハーネルだが、
蹴りで間合いを取った瞬間に拳銃をクイックドロウ、3発の弾丸がダガーを砕く
ハーネル:抜き打ちの速度ならテメェらの知覚の外だ、魔力使って一気に潰してやらァ
ミカヅチ:おぉォォおああぁぁぁあああァッ!!!
量産型ST:ランチャー照準・・・
ミカヅチ:閃(せん)ッ!!
量産型ST:・・・ッ!
ミカヅチ:魔導斬一刀流連閃兵法(れんせんひょうほう)、「鉄輪・大参角(てつのわ・だいさんかく)」ッ!!!
N:一閃でミサイルの付いた左足を飛ばしたミカヅチは、三角を描くようにそのまま左腕・右腕・右足
を一瞬にして斬り飛ばした。ダルマ状態になったSTは、無残にそのままパーツと共に崩れ落ちる
ハーネル:悠久なる凍土の息吹よ・・・我が弾丸と共に撃ち貫き、絶対零度の像と化せよ!!
喰らいやがれ!「アイセン・ヴァレ」ェェェッ!!!
量産型ST:・・・刀身、熱力加速
ハーネル:魔力でできた氷はなァ、火炎放射で炙ろうが火薬使おうがそう易々と溶けねェんだよ!
大サービスだ!ワンマガジン分の威力で持って行きやがれェッ!!
N:ハーネル目の前にできた魔法陣に7発の弾丸を撃ち込むと、青い魔力光がレーザーのように一斉に伸び散る。
STは回避し接近するも虚しく7本全てが身体を貫通すると、一瞬にしてボディが氷に埋め尽くされ、完全な氷漬けとなってしまった。
ミカヅチ:やるじゃねェか、見直したぜ?
ハーネル:へっ、ザッとこんなモンよ
???:ほぅ・・・。無傷で私の作品を凌ぐとは、大した奴等だ
ミカヅチ:さぁ聞かせて頂こうか、メロウの事。そしてスティレットの事を
???:私の元まで来られたら・・・の話だがな。無事に帰れる事を祈っているよ、フハハハ・・・!
(ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・)
ミカヅチ:・・・何の音だ?
ハーネル:・・・おいてめぇ!まさかコイツ等に!
???:察しが良いな銃使い、今日は良いデータが取れたし、もうそいつらは用済みさ。
後日また新しい試作機を生産するとして、残骸処理も面倒だから自決(じけつ)装置にて君達と共に処分させて頂こう
ミカヅチ:・・・自爆装置・・・ッ!
???:では、ごきげんよう
ハーネル:隠れろミカヅチィィイッ!!!
ミカヅチ:うおぉおおおおおぉッ!!?
N:物陰に飛び込むと同時にハーネルが最後のグレネードを投げ、爆風で残骸を塞がった瓦礫まで吹き飛ばす。
すると壊されたSTは一瞬光に包まれ、そのまま大爆発が起きる。大きな地鳴りと振動、瓦礫が通路いっぱい
に爆散していく。爆発の衝撃が収まると、通路は煙で満たされたいた
ハーネル:か・・・間一髪ってところか・・・
ミカヅチ:あぁ・・・やつを利用して道を開けるたァ非常に迅速かつナイスな判断だ・・・
ハーネル:っしょっと・・・いでで。今日ほど火薬量を呪った事は無ェやい
ミカヅチ:違ェねぇ、うし・・・俺らも戻るか
ハーネル:あいよ。ったく、先生にどう報告すりゃ良いんだよコレ・・・
ミカヅチ:(・・・それに、あいつにも先の件、聞き出さねばならんな)
ハーネル:はァ・・・早く寝てェ
アメリア:メロウの謎は深まるばかり、そしてガンスリンガーの魔導兵器「STシリーズ」。
この先の不安は拭えず、されど突き進むしか方法はなくて。激突は止まず・・・
第八話「駆け引きの入り口」。・・・貴方は、彼女を斬る事はできますか?
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