Mellow〜海面に咲く華〜 第十一話「BULLET DANCE」



登場人物

♂ミカヅチ・アザイ 17歳 行方の分からぬ父親を探すため妹と共にヴァルハラへ転校してきた本編の主人公
                        意外とフランクな性格と見せかけて不真面目万歳の皮を被った「武人」。若干シスコン

♀アメリア・L・エリダンヌ 17歳 ミカヅチと同じクラス。お嬢様という特別視を嫌うエリダンヌ国の姫君
                            彼女自身もお嬢様には見合わぬ明るい性格をしているが魔法剣士の腕は一流

♀スティレット ?歳 普段はアメリアのメイドをしている、エリダンヌ家で製造された戦闘型アンドロイド。
                    感情を持ってないと言う割には、若干ドジっ娘気質があったりなかったり

♂ハーネル・レッドホーク 17歳 ミカヅチのクラスメイトでミリタリーマニア、不真面目代表
                            一見チャラい男だが、ミカヅチ同様なにかとアツいものを秘めている義理人情に厚い野郎

♀ミズチ・アザイ 16歳 ミカヅチの妹、共にヴァルハラへ転校してくる。
                      重度のブラコン。ミカヅチを慕ってる。最近レベッカに狙われてます

♀レベッカ・フレイズ 16歳 アメリアを慕う後輩。ミズチとスティレットのクラスメイト
                          ミズチ曰く真面目な性格だが、ミズチの愛で方が半端なかったりする百合っ娘

♂アルバート・ブーン 38歳 ミカヅチのクラス担任。就任15年目のベテラン教師
                          スーツをラフに着こなし、そこから見える逞しい肉体と煙草がトレードマーク。




※各キャラクターのもう少し練った詳細設定はコチラ※


役表(♂3:♀4:N)
♂ミカヅチ:
♂ハーネル:
♂アルバート:
♀アメリア:
♀ミズチ:
♀レベッカ:
♀スティレット:
♂♀ナレーション:



(ピピピピッ・・・ピピピピッ・・・ピピッ!)

ミズチ:ん〜・・・んっ・・・んうぅ〜っ・・・!
      ・・・っはァ、いつもよりよく寝れた気がするなぁ。うん、いい天気!
      さて、お兄ちゃんはまだ夢の中だろうし、顔洗って朝ごはんの支度しなきゃね

N:パジャマ姿のミズチが寝癖をいじりながら部屋を出ると、とんとんと階段を下りていく。
   居間の扉を開けてすぐ左のキッチンへ向かおうとした刹那、ミズチは暖かい風を感じる。
   風の発生源を見つけるように居間へ歩を進めると、中庭へ行くための窓辺にミカヅチが座っていた。

ミズチ:お兄ちゃん?珍しいね・・・朝早くから何してるの?

ミカヅチ:あぁ、起きたかミズチ。コイツらを早めに終わらせたくてな・・・

ミズチ:あっ、私の薙刀・・・。お兄ちゃん、コレ研いでいてくれたの?ありがとう!

ミカヅチ:待った、刃(は)には絶対に触れるなよ?今のそいつはいつもの俺のヤツより斬れるからな

ミズチ:えっ・・・って事は・・・これに「合戦(かっせん)の研ぎ」を・・・?

ミカヅチ:ま、念には念を・・・だ。鞘の皮はいつもの倍の厚さにしとけよ

ミズチ:う、うん・・・分かった

N:ミズチが自分の薙刀を手に取り、刀身の腹に顔を近づける。
   ホコリひとつ、くもりひとつ無い鋼は、まるで鏡のような輝きを放ち、ミズチの顔を映していた
   「合戦の研ぎ」。それは魔導斬では「鎧を斬る」ことを意味する対人、対兵器仕様の研ぎ方である。

ミズチ:(・・・魔獣戦ならこんな斬れ味にしなくても良いのに・・・?)
      ねぇお兄ちゃん、遺跡に潜んでるのってみんな魔獣・・・なんだよね?

ミカヅチ:あそうだ言ってなかった、残念だが魔導兵器もあるっぽい

ミズチ:ええぇッ!!?・・・あぁ、だからこの研ぎ方なんだ・・・

ミカヅチ:それよりよミズチ、流石に2本も研いだら腹が減っちまった。
        家事万能な妹よ、今日も美味いメシをたのんます!

ミズチ:も、もうっ。ちょっと待っててね?すぐ用意するから


ハーネル:第十一話「BULLET DANCE(バレットダンス)」


N:今夜、遂にふたつ目の遺跡の調査が行われる。今回の場所は森ではなく、王国北側の海沿いである。
   いつも通りの18時だが今回は現地集合となっていた。既に到着していたのはアザイ家とハーネル
   一台の車が3人の前に止まると、ドアを開けて最初に出てきたのは長い金髪をなびかせた彼女だった。

アメリア:ごきげんよう皆さん、先日はとんだ御無礼をおかけしました。

ハーネル:いやなに、大事がなくて何よりだぜ全く。なぁミカヅチ?

ミカヅチ:あぁ、しかし病み上がりでの出陣は申し訳なく思うな

アメリア:気になさらないで下さい。元々ただ単に体調を崩しただけなんですから!

レベッカ:そうですよぉ!アメリア先輩が戦意喪失する事なんてあり得ませんよ!

ハーネル:せんせーい、ボクが頼んだのは戦員であってやかましいヤツじゃありませーん

レベッカ:なんですとー!?

アルバート:おいおい落ち着けよお前ら・・・。久々の全員集合でテンション高くなるのは否定せんが
             今回は下見をしていない領域なんだからな?気を引き締めないと痛い目を見るぞ

ミカヅチ:・・・先生?今回は王国関係者はナシですか?

アルバート:ん?あぁ・・・前回のでかなり危ない目に遭わせてしまったからな。
             今回からは、下見をしない限りは極力俺達で収集しようと思ってな、借りたのは車両だけだ

レベッカ:しかしアレですねぇ・・・?遺跡っていうもんですから、今にも崩れそうな古ぼけた建物を
        想像してたんですけど、なんか祠(ほこら)って感じですね。入口だけドーンって?

スティレット:今回の遺跡、どうやら地下に水の反応があるようです。地底湖のようなモノでしょうか。
            どちらにせよ入り口だけ姿を表しているということは、この先はずっと潜る仕様のハズです

ハーネル:地底湖ねェ・・・?なんか信憑性出てくるな、メロウって海面に咲く花なんだよな?

N:ハーネルの些細な二言がミカヅチの眉をピクリと動かす。
   ミカヅチが転校初日に見た夢、「暗闇」、「抜け穴」、そして抜けた先の「水に咲く花」

ミカヅチ:(・・・まさかな?)

アルバート:よし、立ち話も何だから早速入って行くぞ?今回の先頭はまず俺が行こう、
             中間に初陣組を置くようにして、殿(しんがり)はミカヅチに任せるぞ?

ハーネル:っしゃあ行くぜ行くぜっ!おいレベッカ、ビビって逃げ出しても俺たちゃ通さねぇからな?

レベッカ:だっ、誰が逃げるもんですかっ!行こうミズチ、いざとなればアホ先輩なんて蹴り倒して
        全力で走ればきっとなんとかなるよ。

ミカヅチ:ンな事したら磔(はりつけ)にするかなら、お前だけ。

レベッカ:(※小声)ラスボス忘れてましたわーっ・・・

アメリア:まぁまぁ。もう入ってしまったものは仕方ないし、レベッカも腹をくくろうね?

レベッカ:満面の笑みでサラッと怖い事言わないでください・・・

アルバート:ふむ、やはり地中に向かっての長い道か・・・。これじゃ奥が暗くて見えんな・・・

(ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!)

ミズチ:きゃあぁっ!?・・・な、なに?何!?

スティレット:入口が塞がれました・・・。前回と同じパターンでしょうか

ハーネル:ミカヅチっ!

ミカヅチ:応っ、ふんぬぁッ!!!

ハーネル:・・・・・・っってェ〜ッ!!?ビクともしねぇや、完全にブ厚い石だぜこいつぁ。
        どうなってやがんだ?前のといい俺達が入ったタイミングで発生しやがる・・・

アルバート:いや、俺達じゃなくても発生はするだろう。恐らく侵入者用のトラップか・・・

レベッカ:こんなカラクリ仕掛けもあるんだ・・・。なんか、ダンジョンって感じですね!

アメリア:喜べる所ではないんだけどね・・・?


アルバート:初陣2名、念のために言っておこう。この先には魔獣、魔導兵器が潜んでいる可能性が極大だ。
             特に魔獣はどこからともなくやって来る。例えばその辺に転がってる魔獣の死体、要注意だぞ?

N:しばらく進んだ所でアルバートが振り返り、ミカヅチの後ろで野垂れんでいる魔獣を指さす。
   言葉に反応したかのように魔獣がガバっと起きあがり、後ろを振り向かないミカヅチに大口を開けて飛びかかる
   が、寸前でハーネルとスティレットが銃を抜き出し、顔面に弾丸数発を叩き込んだ。

   ここでスティレットだけが初めてミカヅチの手が刀をを数センチ抜いていた事態に気付く。
   ミカヅチは何事もなかったかのように納刀すると、弾丸を受けて静止していた魔獣の首が地面に落ちた

アルバート:・・・こういう事だ。

レベッカ:うわぁ・・・いざ近くで見るとグロ・・・

ミズチ:お兄ちゃん、いつから斬ってたの・・・?

レベッカ:・・・・・・えっ?弾丸の威力で首が落ちたんじゃないの!?

スティレット:私達は面に向かって撃ったので、少なくとも弾丸の威力だけでは無理ですね

ミカヅチ:(視野もだいぶ広くなっているな・・・)着弾とほぼ同じタイミングだ、あくまで保険としてな?

ハーネル:それにサムライソードくらいの切れ味じゃねぇと、こうも綺麗に落ちねぇだろ

アルバート:おーい、談義は進みながらでもできるだろうが。もうじき長い階段も終わりだぞ?

スティレット:皆さま、気を付けて下さい。モーションセンサーに微かですが動きを感じられます・・・。
            波長の流れから見るに、魔獣である可能性が高いを思われます。

アルバート:こっちに気付かれてこの狭い通路に雪崩こまれても面倒だ。リーチの長いミズチやミカヅチが
             動きにくいだろう・・・。こういう時はとっとと通路を抜けて広間に出てしまおう。

ミカヅチ:(・・・さっきからアメリアが沈黙を通しているが、まだショックから抜け出せて無いんじゃないか・・・?
        そうなると俺と先生、・・・未知数の変態娘が前衛を張る事になるか・・・はてさて)


N:一行(いっこう)がようやく薄暗く長い下り階段を抜ける。するとその広間で待ち構えていたのは魔獣。
   だがその数に全員が言葉を呑んでしまった。体育館ほどある広場のほぼ半分が、禍々しい呻き声で満たされていた。

レベッカ:ちょっと・・・ちょっとスティレット!?あんたのセンサー壊れてるんじゃないの!?
        これ・・・どう考えても捉えられるのは「微かな動き」じゃないでしょっ!!

ミズチ:この魔獣・・・私達がいつも迎撃戦で見る魔獣と違う・・・?二足歩行なんているの・・・!?

スティレット:数・・・推定700。私達が最初に遭遇した魔獣のパターンと同じです・・・!

アルバート:ヒューマンチェンジかッ・・・!全員、とにかく殲滅しろ・・・目標は全滅だ!!
             詳しい事は聞くな・・・いいか、頭を狙え!斬り落としても潰しても構わん!

ハーネル:レベッカ!ミズチ!俺達の中の誰かから、ぜってェ離れるな!
        背中合わせでいきゃ俺達もカバーできるからよ、まず抜ける事だけを考えt

アメリア:(間髪入れず) ファイアァッ!!!

アルバート:むっ・・・!?

ミカヅチ:アメリア・・・!

N:アメリアが叫ぶと同時にハーネル達の背後から高密度の魔力弾がすり抜け、魔獣の頭を吹き飛ばす。
   全員がアメリアを見ると、レイピアを前に突き出し誘導弾を無数に浮かばせるアメリアの姿があった

スティレット:・・・エリダンヌの誇る魔法技術は、数百年この地を治めてきた最強の魔法です

アメリア:一対多数の魔獣戦は私の本領です。さぁ行きますよっ!
        バレットモード!「シャイニングアロー・ファランクスシフト」ォッ!!!

ミズチ:シフトクラス!?・・・すごい、大量の魔力弾で制御が難しいのに全部頭に照準を定めてる・・・

アルバート:ご挨拶は終わりだ、アメリアに続けぇッ!

ハーネル:っしゃあ!ハデにブチかましてやらァッ!

ミカヅチ:・・・ミズチを頼むぞアメリア・・・いや、「光の騎士」。

アメリア:お任せ下さいミカヅチさん・・・いえ、「迅雷」。

レベッカ:・・・あたしもいるんですけどー・・・?

ミカヅチ:お前は俺に着いて来い、向かって中央を真っ向から叩き潰す。

レベッカ:中央て・・・四面楚歌じゃないですか!せめて端から削るとかにしましょうよ・・・

ミカヅチ:何言ってやがる、お前はマーシャルアーツ・・・言わば総合格闘技の使い手だろう?
        肉弾戦は弾丸や魔術のように直線的ではない、100人組み手の要領こそ我々の本領。
        ・・・それにお前はゴミひとつ投げ捨てるのにいちいち感想付けないと気が済まないのか?

レベッカ:ぐぬぬ・・・!あぁもうわかりましたよ!先輩がピンチになっても背中眺めるだけにしますからね!?

ミカヅチ:その投げ槍さは大切だ。・・・教えてやろう、「魔剣」と呼ばれし剣(つるぎ)の合戦剣術というものを

ミズチ:(お兄ちゃん・・・。取り巻く空気が昔に戻っていってる・・・?)

レベッカ:ブレード展開!行きますよ・・・「アクセルエッジ・ライジングハーケン」!!

N:ミカヅチが「禍・迅雷撃(まがつ・じんらいげき)」の一振りで一気に中央の魔獣を吹き飛ばすと、
   一瞬のスキをついて脇をすり抜け前に出たレベッカが、広げた足に引っ掛けたトンファーで
   回転攻撃を繰り出す。風車のような刃が次々と吹き飛ばした魔獣の首をかっさらって行く。

ミズチ:レベッカすごぉい・・・!

アメリア:柔軟な身体が為せる技術ね、流石に私はあんな芸当できないもの・・・
        瞬発的な突撃(チャージ)を出す「アクセルエッジ」を使いこなせるのは、彼女かスティレットくらいかな?

アルバート:ふぅんッ!!・・・ハーネル、背中がガラ空きだぞ?

ハーネル:こちとらアイツ等みてーに身体強化できねーんだよこんちくせーう!!!
        ッ・・・っぶねぇ!しゃらくせェ、「アイセン・ルガール」!黙って凍ってやがれぇ!

スティレット:お背中失礼致します。魔法に使用するなら弾数は多い方が宜しいでしょう?

ハーネル:へっ、助かるぜ。小回り利いて分速の早いMac10(イングラム)でも心細くてな・・・。ファイアッ!!

アルバート:凍結後の始末は・・・おぉりゃッ!・・・任せておけ!

ミズチ:・・・あれ?お兄ちゃんはどこに?

ミカヅチ:撹乱・・・及び強行突破兵法、「黄泉夜行・廻(よみやこう・かい)」ッ・・・!

アメリア:消えたっ・・・!?

ミカヅチ:でェえええぇりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃぁあああァァァッ!!!

N:闇夜に消えたような、目にも止まらぬ速度でミカヅチが魔獣の群衆の合間を縫い回ると、
   咆哮を上げながら次々とすり抜けていく魔獣を切り刻んでいく。中央の群れが木端微塵となった

レベッカ:・・・人間ディスカあの人

ミズチ:誠に残念ながら、人間なんです。端から見ればミキサーだけど・・・

ハーネル:何気にひでぇ例え方だなオイ

アルバート:中心が開けたか!よし、センターを固めての迎撃に移るぞ

(ガシャン・・・ガシャン・・・ガシャン・・・)

スティレット:待って下さい・・・このパターンは・・・ッ

アメリア:増援・・・!?でもなに・・・この音は?

ミズチ:ガシャンガシャンって機械みたいな・・・。まさか、魔導兵器・・・!?

ハーネル:(※小声)マズイぜミカヅチ、今ここで皆にSTシリーズの姿見られちまったら・・・!

ミカヅチ:(※小声)確かにな・・・。スティレット、アレが来るのか・・・?

スティレット:魔心炉の反応がありません、恐らく・・・駆動音からするに四足歩行の防衛システムと思われます
            ですが・・・音の量が多すぎます。推定では、20機前後はあるかと・・・

ミカヅチ:(20・・・。「合戦の研ぎ」を施したコイツでやったとしても、せいぜい10が刃の限界か・・・)

N:徐々に大きくなる機械の駆動音、そして奥の薄暗い空間に突如浮かび上がる無数の赤い点々。
   初めてその正体が姿を現す。白いボディの四足歩行、赤いモノアイ、胴体部分からはバレルらしきものが伸びていた
   広間に入ってくるとすぐさま、総勢20機の魔導兵器が魔獣と共にミカヅチ達を包囲した

アルバート:最悪のパターンだなコイツは・・・

アメリア:これが・・・魔導兵器・・・

ミカヅチ:伏せろッ!!!

ハーネル:うぉあッ!?

ミズチ、レベッカ:っきゃあっ!

アメリア:ッ・・・魔獣が焼き切れた!?

アルバート:光学兵器(レーザー)だと・・・!?ヤツ等め、そんなテクノロジーまで取り込んでいるのか!
             お前ら、絶対に当たるなよ・・・、受けた瞬間、身体を真っ二つにされちまうぞ・・・!

スティレット:回避に徹して、うまく魔獣の処理をさせられれば良いのですが・・・
            しかしそんな虱(しらみ)潰しのような悠長な真似もしていられないですね

ミズチ:奥義系の範囲魔法で、一気に数が減らせたら・・・

ハーネル:!!?・・・おいアメリア

アメリア:えぇ・・・今ハーネルさんと同じ事を思いつきましたよ

ハーネル:一か八か、やってみねェ事にゃわからねぇ。・・・賭けに出るぜ?

アルバート:まさかお前ら、複合奥義を使う気か・・・!?

ミズチ:・・・複合奥義?

スティレット:範囲魔法は、使用者が消費した魔力の量によって範囲、威力が決まります。
            しかし一人分の魔力量では制御にも限界があります、ですから二人の魔力を使用する事で
            範囲も威力も同時に底上げする事が可能となる。・・・それが複合奥義(エレメントブラスト)です

ミカヅチ:そんな事が可能なのか・・・

アルバート:だが詠唱が長いから二人は動けなくなる。・・・それまで俺達でヤツ等の動きを封じるぞ
             全員、魔導兵器のレーザーバレルを優先的に破壊しろ!

ハーネル:・・・基盤と形式は俺が作る、アメリアはできる限り圧縮した魔力弾を6発用意してくれ

アメリア:わかりました、お願いします。・・・バレットモード、「ナーボバスター」・・・

ハーネル:「我、己(おの)が弾丸と共に氷結を司る・・・射手(いて)の操者也・・・」

アメリア:「我、無限の光を力に換え、氷結の射手を支える弾丸となる者・・・」

ハーネル:「従えるはルキウスの無限光・・・我が砲身は散弾の地雷源となりて、討つべきものを葬らん・・・」

アメリア:「集え、集えルキウスの無限光・・・装填されし碌発(ろくはつ)の弾丸、氷結の暴風となりし弾丸・・・」

ハーネル:「いでよ指向散弾の棺(ひつぎ)、我は信管・・・爆薬を迎えるその口を開けよ・・・」

アメリア:圧縮開始・・・!

N:広間の天井付近に、6個の魔法陣が展開される。深いため息をついたハーネルが立ち上がる。
   アメリアは目を瞑り意識を魔力の圧縮に集中していた。周りを見ると、既に目標を達成したミカヅチ達が
   通らせんとばかりに魔導兵器とのにらみ合いを続けていた。

ハーネル:(射撃型じゃない奴の使う魔力弾は元々の生成に時間がかかるからな・・・
        こいつぁあと10秒は動けねぇ、頼むぜ・・・何事もなく発動させてくれよ)

アメリア:圧縮完了・・・「棺に捧ぐ地雷の源、氷結の陣へ参れ!『ナーボバスター』」ッ!

アルバート:よし!全員中央に固まれ・・・っしまった!まだ砲身が生きているヤツがいたか!?

レベッカ:アメリア先輩、後ろッ!?

アメリア:はっ・・・!?

ミカヅチ:チィッ!間に合えッ・・・!

ミズチ:水神鏡「朧雲」(すいじんきょう「おぼろぐも」)ッ!!

ハーネル:なっ・・・!?

スティレット:光学兵器を跳ね返した・・・?

ミカヅチ:ミズチッ!

ミズチ:へっ?うわわっ!?

ミカヅチ:やれェ!ハーネルッ!!!


ハーネル:「氷結の地雷原よ、その荒れ狂う光氷(こうひょう)の暴風で全てを凍結させよ!」
        エレメントブラスト・・・「アイセン・ヴァレ!『ランドクレイモア』」ぁぁぁッ!!!

N:ハーネルが拳銃で頭上の氷、信管を撃ち抜くと、アメリアの魔力弾を吸収した光り輝く6つの魔法陣から
   水色のレーザーが無数に魔導兵器、そして魔獣へと降り注いでいく。レーザー状の魔術は瞬く間に
   身体を貫通していき、内部機構そのものからダウンバーストのように凍結させていた。

   完全に瞬間冷凍となった魔導兵器と魔獣。アメリアがパチンと指を鳴らすと
   魔導兵器20機が次々と内部爆発を起こしながら崩れていった。

レベッカ:すごい・・・!

アルバート:まさか土壇場のこの状況を一発で成功させるとは・・・

ハーネル・・・っかあぁぁぁ〜ッ!!一時はどうなるかと思ったぜこんちくせう!

アメリア:はぁ・・・流石に、気を張り過ぎましたね・・・

スティレット:このエリア全ての反応の消滅を確認しました。これで先に進めます

ミカヅチ:・・・大丈夫か?ミズチ・・・

ミズチ:ありがとうお兄ちゃん、大丈夫・・・。でもやっぱ私、体力ないや・・・

ミカヅチ:(反射魔法ひとつでこの体力の消耗・・・。ただの魔力持ちでさえそうはならないハズだ・・・)

アルバート:よし、先へ進むぞ。あの魔導兵器から見るに此処がガンスリンガーのアジトにされている
             可能性は高い、助け合いの精神を忘れるな。・・・本番はここからなのかもしれんぞ



ハーネル:「光の騎士」の復活。無双を制し舞台は更に奥へと進む。
        暗闇を斬り裂く「魔剣」、だがその暗闇を生み出すものもまた「魔剣」。
        秘密を知った時に出る反応は人それぞれだが、ここまで来たら起きた事全てが「現実」だ
        次回「百鬼夜行の魔剣」。・・・なぁ、お前が今まで斬ってきたのは、魔獣じゃねぇんだろ?



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