Mellow〜海面に咲く華〜 第十二話「百鬼夜行の魔剣」



登場人物

♂ミカヅチ・アザイ 17歳 行方の分からぬ父親を探すため妹と共にヴァルハラへ転校してきた本編の主人公
                        意外とフランクな性格と見せかけて不真面目万歳の皮を被った「武人」。若干シスコン

♀アメリア・L・エリダンヌ 17歳 ミカヅチと同じクラスになる国のお嬢様だが、お嬢様という特別視を嫌う。
                            彼女自身もお嬢様には見合わぬ天真爛漫な性格をしているが魔法剣士の腕は一流

♀スティレット ?歳 普段はアメリアのメイドをしている、エリダンヌ家で製造された戦闘型アンドロイド。
                    感情を持たない割には、若干ドジっ娘気質

♂ハーネル・レッドホーク 17歳 ミカヅチのクラスメイトでミリタリーマニア、不真面目代表
                            一見チャラい男だが、ミカヅチ同様なにかとアツいものを秘めている

♀ミズチ・アザイ 16歳 ミカヅチの妹、共にヴァルハラへ転校してくる。
                      重度のブラコン。ミカヅチを慕ってる。最近レベッカに狙われてます

♀レベッカ・フレイズ 16歳 アメリアを慕う後輩。ミズチとスティレットのクラスメイト
                          真面目な性格だが、ミズチの愛で方が半端なかったりする百合っ娘

♂アルバート・ブーン 38歳 ミカヅチのクラス担任。就任15年目のベテラン教師
                          スーツをラフに着こなし、そこから見える逞しい肉体と煙草がトレードマーク。

♂魔獣 年齢不詳 ガンスリンガーにより人間から魔獣へと変貌した(第六話参照)
         従来のヒューマンチェンジに比べて自我や思考は持っており、兵器の操縦もできる




※各キャラクターのもう少し練った詳細設定はコチラ※


役表(♂4:♀4:N)
♂ミカヅチ:
♂ハーネル:
♂アルバート:
♂魔獣:
♀アメリア:
♀ミズチ:
♀レベッカ:
♀スティレット:
♂♀ナレーション:



ミズチ:うぅ・・・・・ッ

レベッカ:ねぇミズチ本当に大丈夫?さっきから凄い顔色悪いよ・・・?

ミズチ:うん・・・大丈夫。私体力ないのに、反射魔法って体力使うから・・・

レベッカ:咄嗟の発動だから余計に仕方無いけど・・・ほら、私が背負ってあげる!

ミズチ:でも・・・

レベッカ:いいのいいの!私、割と筋力はあるからミズチくらいなら余裕だよ

アメリア:ごめんねミズチちゃん。さっきはありがとう・・・

ミズチ:いえ、気にしないでください。間に合ってよかったです

アメリア:うん・・・でも本当に辛いなら、ちゃんと言ってね・・・?

N:魔獣と魔導兵器の掃討から抜け、一行は更に深みへと駒を進めていく。
   ミズチらが話をしている間、ミカヅチはずっと怖い顔をしたまま鞘を握っていた

ミカヅチ:(・・・誰かが俺達をツケているのは、間違い無さそうだ)


スティレット:第十二話「百鬼夜行の魔剣」


ハーネル:しっかしよォ、かなり進んじゃいるが殆ど一本道じゃねぇか?
        景色はだいぶ地層が剥き出しになってきてるし、底は近いって事か

スティレット:岩盤から見るに、既に地下100mに到達しています。
            それと同時に、まだ遠いですが魔力反応も見られますね・・・

ハーネル:考えたくはねェが、まだ何かしら仕掛けあんのか・・・

アルバート:やはりゴールに着いても綺麗には終わらんか・・・
             ミカヅチ、先を急ぎたい気持ちは分かるが・・・彼女の体力も心配だ

ミカヅチ:女性陣が付いてるから問題ないでしょう。・・・それにどうも別な気も混じっている

ハーネル:やっぱ、ガンスリンガー共に監視されてるって事か?

ミカヅチ:可能性は半々だな。スティレット、最初の魔導兵器以来に機械の類は?

スティレット:各エリアで全体的にスキャンしていますが、カメラ等といった物は特に・・・

ミカヅチ:(ならばこの気は何だ・・・?まさかとは思うが・・・)

ハーネル:んどおぉわあッ!?・・・っぶねぇ、何だ何だ?急に地面がぬかるみやがったぞ?

アメリア:ホントだ、よく見たら色んな所から水が滲みてきてる。レベッカ気を付けてね?

レベッカ:りょーかいでーす。足腰のバランスには自信アリアリです!

N:一行の進む場所は、先程の広間や階段といった遺跡のような構造とは離れ
   洞窟、または鍾乳洞といった原始的に作り出された神秘的な状態となっていた。
   進んでいくにつれ水の量は増え、道の横では所々で水が下に向かって流れ込んでいる

ミズチ:寒っ・・・

ハーネル:確かに、長袖でも肌寒さ感じてきやがった

アルバート:やはり地底湖の類がある確率は極めて高いな。遺跡内の温度が下がってきている。

アメリア:100mも下に潜れば尚更ですね。それにどんどん魔力反応も広がってます・・・。
        今の状況じゃ、それが魔獣なのか別の何かはわからないけど・・・。

アルバート:ヤツらはまだいるだろうな・・・。先程の魔導兵器は最初からあのエリアに居なかった

レベッカ:もっとデカくてヒドいのがいたりして・・・?

スティレット:皆様、もう少しで道が開けます。・・・できれば、御用心を

ハーネル:・・・ドンピシャかよ。っておい!ミカヅチっ!?

アルバート:何を焦っているんだ彼は・・・?いや、焦る素振りはなかったのだが

レベッカ:なんかさっきからずっとあんな感じでしたよね?怖い顔してずっと黙って。
        いつ斬られるかヒヤヒヤして横も歩けないですよ

ミズチ:・・・お兄ちゃん、多分・・・常に誰かに視られてるんだって警戒してるんだと思う・・・
      昔もずっとあんな感じだったの・・・武者修行から帰ってきた時から

レベッカ:少なくとも私はあんな無骨な表情した兄は持ちたくないわ・・・

アメリア:先生、私もミカヅチさんを追って先に行きます。ミズチちゃんを頼みます!

スティレット:連携(エレメント)の最少人数は3名です。お嬢様、私も同行致します

ハーネル:おー、無茶すんじゃねーぞ!?

レベッカ:頼みましたよー!

N:アメリアとスティレットが走っていくと、確かに道はなくなっていた。
   道の出口でミカヅチが立っているのを見つけ、釣られるように視線を追うとそこは崖となっていた。
   しかし問題なのは飛び降りる事でもその先にある地底湖でもなく・・・。

アメリア:こっ、これは・・・!?

スティレット:生体ポッドでしょうか・・・。一体何の実験を?

アメリア:あの中身・・・確実に人間ですよね・・・?

ミカヅチ:中に入れられている人間は生きているのか、死んでいるのかも問題だ

アメリア:やはりガンスリンガーの施設になっていたと・・・。これは魔獣になるのでしょうか・・・

ミカヅチ:・・・試しにポッド一つ、割ってみるか。それでこいつ等が何なのか分かるだろう

スティレット:一番近いポッドに一発撃ちこみます。できればレベッカ様やミズチ様に見られたくなかったのですが・・・

アメリア:できれば、知るのはもう少し先にしてほしかったけどね・・・

ミカヅチ:構わん。この調査チームにいる以上いずれ知らなければならん事実だ

アメリア:・・・・・・。

N:スティレットの左腕が折れ、機銃のバレルが展開すると同時に後の4名もようやくミカヅチ達に辿り着く。
   マズルフラッシュに気付いたハーネルが慌てて駆け寄ると、撃ちこんだポッドは粉々に砕け散った

ハーネル:オイ、やっぱり何か居やがったのか・・・ってなんぞこれー!?

レベッカ:な!何ですかこりゃ!?てかスティレット今なに撃ったの!?

ミズチ:カプセルがいっぱい・・・。もしかして、割れてるのが今撃ったの・・・?

ミカヅチ:よく見ておけ、俺等が今日相手にした魔獣。その正体を・・・!

レベッカ:えっ・・・?

アルバート:まさか、こいつら全員・・・

魔獣:ぐぅおぉおおおおォォォォォあぁッ!!!

レベッカ:・・・・・なに、これ。・・・人間じゃ、なかったの?

ミズチ:ヒューマンチェンジ・・・。アルバート先生、その名称って・・・

アルバート:あぁ・・・人間が何らかの手段で魔獣にされ、もう助からん状態になった奴等の事だ・・・

スティレット:私達は「弔い」の意味も込めて、今までヒューマンチェンジを退治してきました

ミズチ:それじゃあ・・・私達がさっき広間で倒した魔獣はみんな・・・

アルバート:・・・・・・そうだ。

魔獣:ごぅおぁあああああッ!!!

ミカヅチ:シッ・・・!チェストォオオオッ!!!

魔獣:ァギャアアアぁぁぁ!!?

N:割られたポッドから出た人間は一瞬にして魔獣へを変化し、跳躍で一行の元へ迫った。
   それに対しミカヅチは崖から飛び降り、頭から魔獣を真っ二つに仕立て上げる。
   肉片となり爆散した魔獣と共にミカヅチが施設へ着地した途端。無数のポッドが次々と割られていく

ミカヅチ:コォォォォォ・・・・・ッ・・・

ハーネル:マズイぜ・・・。今のでポッドの中の奴等が目覚めやがった。ミカヅチ!助太刀行くぞッ!

アルバート:お前達は上から援護を頼む。ここからは力仕事だ・・・!

レベッカ:なんで・・・先輩は何の躊躇もなく闘えるんでしょうか?

アメリア:それは分からない・・・。でも、彼は私達と住んでいた世界が違う。
        ・・・「魔導斬一刀流」、それが、ミカヅチさんに纏わり着いた戦闘の全て
        でも、・・・でも何であの人はサムライソードを抜くと、口元が緩むんだろう?

レベッカ:魔獣、斬るのが好きなんじゃないですか・・・?有り得なくない話ですよ?

ミズチ:魔獣・・・いないよ

レベッカ:・・・えっ?

ミズチ:ジパングには魔獣がいないの。・・・魔法文化だって全く発達してないよ

レベッカ:えっ、ちょっと待って・・・武者修行って、一体何をしてきたの?

ミズチ:私は詳しく聞いてないから分からない。でも・・・今のお兄ちゃんは・・・

スティレット:「魔導斬一刀流」もサムライソードも。元々は対魔獣用ではありません

アメリア:・・・・・・ッ!!?

N:アメリアは思い出した。以前スティレットに「魔導斬一刀流」のデータを調べさせ、
   少しばかり情報を入手した際に聞いた、「目録試し」の一項

アメリア:「重量級魔導兵器の一刀両断」、「7.62mm機銃の一分捌き」・・・

スティレット:元が対魔力攻撃に特化した剣術、魔力を使う以前にサムライソードを極めるもう一つの項目

アメリア:魔力無使用での・・・「魔導師100人斬り」・・・!?

スティレット:サムライソード。ジパングでは「刀」と呼ばれる、剣において最高クラスの武器
            魔獣のいないジパングは、センゴクと呼ばれる昔の時代に人と人が権力を争っていました・・・。
            ミズチ様の武器は「薙刀」と呼ばれ、その時代から既に女性の護身用として蔓延されています

ミズチ:じゃあ、権力争いって・・・こっちでいう国が兵器同士でやる戦争と同じなの・・・?

スティレット:・・・ジパングで最も人間を殺めていたのは銃でも魔術でもなく、刀です。
                     目録試しが事実であれば・・・おそらくミカヅチ様は、最低でも100名の人間を斬っているでしょう

アメリア:(でなければ、模擬戦であんな芸当できないわ・・・私の奥義も全部斬り落とされた)

レベッカ:でもさ!それってすごく昔の話でしょ?今じゃそんな争いなんて無いじゃない、

アメリア:レベッカ。・・・「魔導斬一刀流」はコンゴウ先生の作った流派・・・。
        嘘かどうかなんて、ミカヅチさんの行動が全てを物語っているわ
        ・・・人間と、その人間の操る兵器を・・・おそらく彼は此処へ来るまで相手にしてきたのよ・・・

ミズチ:そう・・・だったんだ・・・。魔導斬、きっとお父さんも同じ道を・・・

アメリア:でも変ね・・・?人間の魔獣化って、ウィルスのある魔獣の歯から感染するものでしょ?
        ここにあるヒューマンチェンジ、身体に噛み痕ひとつない普通の肉体だったわ

スティレット:野放しにされた状態ではなく生体ポッドに保管されていたというのも、ひとつの疑問ですね

アメリア:魔法化学科エリートのレベッカから見て、どう思う?

レベッカ:えっ・・・。確かに、色合いと匂い的にはホルマリン類の保存溶液でしょうけど・・・。
        でも出てきたものが動くともなれば、たぶん別の技術か薬品が液体、若しくは被体に混じってるかと

スティレット:遺跡調査部からの報告によれば、あの組織が魔獣を生み出す薬品が作られている
            可能性があるとの事ですから、もしかしたら後者側のほうが答えに近いかもしれません

ミズチ:魔獣を生み出す薬物・・・?

スティレット:推測ですが、魔獣の歯から抽出されたウィルスを研究して、肉体強化系の劇薬と混ぜたもの・・・
            ヒューマンチェンジは、物によっては自分の意識がまだ残されている場合があります

ミズチ:意識があるって事は、人間同様会話ができるって事だよね?

アメリア:私達が最初に遭遇したものと同じね・・・。残留思念をあえて残すなんて残酷な事を・・・!

レベッカ:なんだか納得いかないですけど、訳自体はよく分かりました・・・。
        でもアメリア先輩。私達が相手にするのは、あくまで人間じゃなく魔獣です・・・!

アメリア:そうね・・・。エリダンヌ、いや・・・ルキウスの無限光がこんな組織、制裁するわ!

N:アメリアの足元に眩しい魔法陣が展開され、レイピアが光に包まれる。その光はみるみる太く、長く伸びていく。
   先端が鋭く尖っていき、長く雄々しい光はまさに重槍(じゅうそう)。アメリアは崖から高く舞い跳ぶ

アルバート:爆撃型投擲魔法か・・・!2人ともド真ん中の装置から離れろッ!

ハーネル:やんなら一発でブッ飛ばしやがれアメリアッ!!

アメリア:往きますッ!重罪を撃ち貫く光の重槍ッ・・・「ディスパー・デ・リーチェス」ッ!!!

N:高く跳んだアメリアがレイピアごと纏う魔力の塊を投擲する。狙ったのはポッド群の中心、管制装置。
   重槍が装置へ深々と突き刺さると、光に包まれた装置はそのまま大爆発を起こす。
   跡形もなく爆散した爆心地からレイピアは跳ね戻ると、着地したアメリアの手へと戻っていった

ミカヅチ:(罪を裁くはルキウスの無限光・・・か)

魔獣:グゥっ・・・っは・・・ぐはァハハハハハハハッ!!!

アルバート:何だっ!?今回は中々にしぶといヤツだな・・・!

魔獣:カカカ・・・サムライソード・・・!貴様モ魔導斬ヲ操ルアノ東洋人ノ仲間カ・・・ッ!

ハーネル:まただ、人間としての意識を持った魔獣・・・だが今回は随分ご機嫌なこったな

ミズチ:受けていたダメージが・・・再生していく・・・!?

スティレット:自己再生能力・・・それもかなりのスピードですね・・・

ミカヅチ:(コイツ等・・・揃いも揃って何故親父の事を知ってやがる・・・?)

魔獣:ソノ鷹ノヨウナ眼光!忘レハシナイ・・・!ダガ俺我等ハ魔獣ノ力ヲ手ニ入レタ!

アルバート:「手に入れた」・・・だと?やはり元は普通の人間か・・・!

魔獣:魔獣ト成った我等ガ魔導兵器を操ル・・・コレゾ最強ノ人喰イ殺戮兵器ノ誕生ダ!

ハーネル:うおぉあ!?な、何だなんだ!?

レベッカ:アメリア先輩の吹き飛ばした場所から・・・あれも魔導兵器!?

ミズチ:大きい・・・!あっ、魔獣が跳び移って行く!?

ハーネル:させねぇッ!!ドタマでもブチ抜かれてくたばってやがれッ!

N:ハーネルがクイックドロウで魔獣を撃ち抜く、が寸前で照準がブレて魔獣の右頬が吹き飛ぶ。
   瞬時に吹き飛んだ頬は再生されていき、魔獣は地中から出現した魔導兵器の内部へと入っていった
   出現した魔導兵器は約5mの逆関節。魔獣の顔を機械化させたようなオブジェクトである

ハーネル:こいつぁまいったな・・・。中の野郎ブッ潰せば一発なんだろが、これじゃ狙うにも狙えねぇ

アルバート:まず外側からになるか。こりゃ骨が折れるぞ・・・?

魔獣:人間共ヨ、死ネェッ!!

ハーネル:うおぉッ!?口ン中にレーザー仕込んでやがるぞこの野郎!?

アメリア:でも、あんな高い場所にあるとしたら、魔法か弾丸じゃなきゃ届きそうにないですね・・・

魔獣:クカカカカッ。無駄ダ、新型ノ対魔術フィールド装置搭載・・・肉弾戦デ嬲リ殺サレルンダナ!

レベッカ:超絶的に厄介なモノ造ってくれますねぇ、このガンスリンガーとやらは・・・

アルバート:アメリアの攻撃から逃れられたのも、そいつのせいか・・・

魔獣:全員丸焼キニシテ・・・貪リ喰ラウノハソノ後ダッ!!

ミカヅチ:カァアッ!!!

魔獣:ナニィッ!!?

ハーネル:うおぉあっ!またかーッ!?あぶねェじゃねぇかミカヅチ!

アルバート:(光線を刃で真っ二つにした・・・!?あの一瞬でどんな演算能力をしているんだ・・・!)

ミカヅチ:答えろ!何故貴様らが「魔導斬」・・・いや、「俺達」の事を知っている!?
        コンゴウ・アザイはこの地と、ガンスリンガーに関与しているのか!斬り殺すのはそれを吐かせてからだッ!

ハーネル:・・・ダメだ。何でか知らんがアイツ相当イラついてやがるな・・・。
        ヘタに口出ししたらコッチにまで飛び火が来そうなくらいヤベェ気迫してやがる

アメリア:恐らく、返り血に染まる修羅の中で生きてきた彼からは、魔獣も魔導兵器も同じ・・・。
        コンゴウ先生へのヒントが見つかりそうで躍起になってるのか、それともミズチちゃんの言う
        「昔」の彼に戻ってしまっているのか・・・

ミズチ:(お願いお兄ちゃん・・・。今が正気だというのは分かる、けど・・・)

魔獣:コンゴウ・アザイ、奴コソ魔獣ヘノ進化ヲ遂ゲルヒントヲ提供シタ張本人!
    我々ハ皆!奴ニ斬殺サレタ・・・!ダガソレハ進化ヘノ篝火、コンゴウ・アザイニハ感謝シテヤル!

ミカヅチ:(薬物・・・提供・・・そしてこの装置・・・)

レベッカ:ヒントを提供・・・って、まさかアザイ先生がその魔獣になる劇薬の一部を・・・!?

ミズチ:魔獣の実験台にするためだけに、お父さんが人殺し・・・?

アメリア:コンゴウ先生の目的はメロウの伝説・・・それを知るガンスリンガーと手を組んだ・・・!
        だから魔獣を作って邪魔を排除しようとこの施設を・・・。

ミカヅチ:有り得なくはない話だ。己の目的の為には人命され厭わんというのは、何とも親父らしい
        憶測でしかないが大体分かった気がする。恐らく親父は別行動でガンスリンガーと共にいる

スティレット:ミカヅチ様、「魔導斬」を知る詳細は掴めませんでしたが、私達はまた新たな情報を掴みました。
            ・・・時間も押している事ですし、早急に魔獣を排除するべきかと

ミカヅチ:承知。・・・先生、気付かれぬよう奴の後ろへ廻り、合図とともにあの図体を前へ飛ばしてください

アルバート:(魔法が効かん分、俺とミカヅチでどうにかするしかないか・・・)・・・わかった!

ミカヅチ:・・・スティレット、ハーネル

スティレット:承知しております。既に場所は掴みました

ハーネル:へッ。デカブツ相手は、まず脚からが基本だろう?

ミカヅチ:アメリア、二人を頼む

アメリア:・・・わかりました

魔獣:光線ガ効カンナラ、コイツデ肉塊ニシテクレル!クタバレェ「魔導斬」ッ!!

N:魔導兵器の両肩が開くと、複数の穴が姿を現す。そこから無数の火を噴き出させると
   煙を連れて大量の小型ミサイルが一斉にミカヅチへと襲いかかる。
   ミカヅチは腰溜めのサムライソードを強く握り、右目が青白い光を伴い開眼する

ミカヅチ:もはや問答無用ッ!!・・・旋回迎撃兵法、「刀漏流止(とうろうながし)」

レベッカ:すっご・・・。サムライソードの刀身でミサイルの軌道を全部あさっての方向に反らした・・・!

N:受け流したミサイルが次々と爆発していく。アメリアが慌ててドーム型のシールドを張り二人を護る

ミズチ:あの技、私も知ってる!反らすと同時に対照に傷をつけて遠隔破壊を起こす対質量兵器用の技・・・

スティレット:脚部マイクロミサイル、オープン。照準セット、発射

魔獣:グゥワ!何ィ貴様!?フィールド発生装置ダケヲ初メカラ!

ハーネル:悪ィが足止めさせて貰うぜ?バレットモード「アイセン・ルガール」!

ミカヅチ:「雷脚振跳」ッ・・・先生ッ!!

アルバート:悪いが閉幕だ大根役者!「タイラントシュート」ぉおォォオオオおぉあッ!!!

N:ハーネルが氷の弾丸で魔導兵器の脚を外部から地に固めると同時に、暗闇から助走をつけたアルバートが
   衝撃波を纏う剛速の跳び蹴りを後ろから叩き込む。魔導兵器がバランスを完全に失い前のめりになった時、
   既に頭上には跳躍したミカヅチが、地から逆さの状態でサムライソードを振りかぶっていた

ミカヅチ:「 一 刀 ! 両 断 ッ ! ! ! 」

魔獣:ウォアぁあああァァァッ!!?

アメリア:(あれが魔導斬の目録試しの一つ・・・「重量級魔導兵器の一刀両断」・・・)

レベッカ:ここまできたら、どっちがバケモノなのか・・・

N:宙返りしたミカヅチが着地すると、真っ二つとなった魔導兵器が前のめりに崩れ落ちながら爆発を起こす。
   右半身を吹き飛ばされた魔獣が地に叩きつけられるが、傷口から蒸気を上げながらゆっくり立ち上がる

ハーネル:チッ・・・脳天直下は免れやがったか。しぶとくも運の良い野郎だぜ・・・

魔獣:グゥウウウゥッ・・・!魔力使ワズニコノ威力・・・ダガ惜シカッタナ!
    コノクライノ重傷ナラバ死ヌ前ニ再生シテシマウワ、グカカカカカ・・・ガッ!?

アルバート:なんだ・・・あの魔獣を取り巻く影は・・・!?

アメリア:あれっ・・・?な・・・なに・・・ッ!?

ハーネル:ンだよ・・・足が・・・動かねぇ・・・!

ミズチ:空気が・・・重い・・・?ちょっと・・・息苦しい・・・!

ミカヅチ:(俺とスティレットだけ効かんとするなら・・・この威圧と殺気・・・まさかッ!)

魔獣:待テッ!?何故俺モ動ケン!何故!何故俺ダケ下ニ「闇」ガ・・・ッ!?
    貴様ハ仲間ダロウ!?ヤメロ・・・ヤメロォォォオオオオオォッ!!!

レベッカ:魔獣の影が・・・「喰われている」・・・!

ミカヅチ:間違いない・・・隠密兵法「百鬼夜行(ひゃっきやこう)」ッ・・・!?

魔獣:ウォオオオオオぉぉぉォォォ・・・・・・!

N:呻き叫ぶ魔獣がみるみる下の影、もとい「闇」に呑み込まれていく。その空間にいる者の感覚を奪う
   威圧の主。奥の暗闇から光って見えるのは、血の色と同じ真紅の眼光。青い眼光はその眼光を睨み

アルバート:まさか・・・!


ミカヅチ:貴様なのか・・・!親父・・・コンゴウ・アザイィィィイッ!!!



スティレット:「ガンスリンガー」。其れは自己快楽、狂気の漂う俗物の楽園(エデン)
            「魔導斬一刀流」。其れは人ひとり護ることのできない外道の末路
            貴方の歩んだ路(みち)が「殺し」なら、我々の刃を向けるべきは果たしてどちらか・・・。
            次回「思考と交錯」。・・・過程がどうあれ信念はひとつ、それが「絆」


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