登場人物
♂ミカヅチ・アザイ 17歳 行方の分からぬ父親を探すため妹と共にヴァルハラへ転校してきた本編の主人公
意外とフランクな性格と見せかけて不真面目万歳の皮を被った「武人」。若干シスコン
♀アメリア・L・エリダンヌ 17歳 ミカヅチと同じクラスになる国のお嬢様だが、お嬢様という特別視を嫌う。
彼女自身もお嬢様には見合わぬ天真爛漫な性格をしているが魔法剣士の腕は一流
♀スティレット ?歳 普段はアメリアのメイドをしている、エリダンヌ家で製造された戦闘型アンドロイド。
感情を持たない割には、若干ドジっ娘気質
♂ハーネル・レッドホーク 17歳 ミカヅチのクラスメイトでミリタリーマニア、不真面目代表
一見チャラい男だが、ミカヅチ同様なにかとアツいものを秘めている
♂アルバート・ブーン 38歳 ミカヅチのクラス担任。就任15年目のベテラン教師
スーツをラフに着こなし、そこから見える逞しい肉体と煙草がトレードマーク。
♂ミカヅチ・アザイ 10歳 7年前のミカヅチ、まだ「魔導斬一刀流」も会得していない。武人見習い
♂コンゴウ・アザイ 42歳(この回では7年前なので35歳) ミカヅチ、ミズチの父親で、「魔導斬一刀流」の創始者
己にも他人にも厳しく、ジパングには名の通った武人。ミカヅチを鍛えるため、武者修行に出る
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役表(♂5:♀2:N1)
♂ミカヅチ:
♂ハーネル:
♂アルバート:
♂ミカヅチ(少年):
♂コンゴウ:
♀アメリア:
♀スティレット:
♂♀ナレーション:
ミカヅチ(少年):「魔導斬一刀流」・・・?
コンゴウ:そうだ、お前ももう10歳になった・・・。固まった基礎である「殺人剣(せつにんけん)」の
修得も終えているならば、俺の創りし「活人剣(かつじんけん)」を覚えて良い時期だ
ミカヅチ(少年):それが魔導斬・・・。それで俺、もっと強くなれる!?ミズチや母さんを護れるくらいに!
コンゴウ:ミカヅチ、人ひとりが護れる人間の数はあまりにも小さい・・・。だがお前には才能がある!
俺の血を引いているんだ。誰よりも強く、そして誰にも追いつけぬ領域へ往けるだろう・・・
ミカヅチ(少年):父さん、俺やるよ!いずれ父さんを越す最強の武人になる!
コンゴウ:そうだその意気だ。途中でくたばる事なぞ許さんぞ、着いて来い!
N:深い森の中、黒い袴を着たコンゴウと少年ミカヅチが歩いていく。
少し進んでいくと、一つの大きな建物・・・石造りの遺跡のようなところへとたどり着いた
コンゴウ:「魔導斬一刀流」。・・・そう、我々のように魔法文化の存在せぬジパングの人間にとって
魔法、魔術は最大の妨害。その魔力を、我々の魂である刀で断つ!それが魔導斬だ。
ここは魔獣、特に魔力の値が大きいのが数多く潜む場所・・・。お前がこれから行う修行は
この中に潜む魔獣を一匹残らず斬り殺す事だ。今までの魔獣と違い、タダで刃は通らぬぞ?
ミカヅチ(少年):すげぇ邪気だ・・・。
コンゴウ:型は俺が最初の場所で教える。その後からはお前ひとりで斬れ
ミカヅチ(少年):お、おう・・・
N:遠い記憶。しかし鮮明に覚えている修行時代の記憶。一般人と離れ、学校にも行かず送った日々。
自宅の庭で静かに立っていたミカヅチは、刀を引き抜き、その刀身を鏡にするように自分の目を睨む
ミカヅチ:(親父・・・。あんたは何の為にこの業(わざ)を創り上げたんだ・・・?
俺達は人を護る剣。・・・魔獣も魔導兵器も斬るさ、だが何故人間も斬る必要がある?)
アメリア:第十三話「思想と交錯」
N:最初のコンゴウ発見からひと月。新たに2つの遺跡の捜索も手がけたが、どれもハズレだった。
連日の捜索や戦闘の疲労も見えてきたのか、放課後の集まりはこんなカンジ
ハーネル:んぉおぉぉぉおおおぉ・・・
アメリア:ゔぅぅぅ〜〜〜〜〜・・・・・
ミカヅチ:ゥヴァー・・・・・
スティレット:・・・・・・
アルバート:ぅおーっす!おまいら集まってるかー!・・・って何だ何だおまいら!
おらハーネル机に足乗せんな!アメリアも起きろ!ミカヅチ机の上で寝るなッ!
スティレット:・・・・・
アルバート:スティレット、お前も何とか言ってやってくれないか?
スティレット:・・・・・・ネームコードの音声認証、起動します
アルバート:スリープモードかよ!!?
N:ごらんの有様だよ!!!(「魔○少女ア○参」より抜粋)
アルバート:さて、気を取り直して今日の会議といきたいのだが、1年の二人はどうした?
スティレット:ミズチ様とレベッカ様は当番と別件が重なり、本日は欠席となります
アルバート:そうか、まぁそれに疲労も重なって相当参ってるだろうからな
ハーネル:俺等も参ってます
アルバート首脳陣が崩れてどうする!4人いるんだから一人0.5人分のアタマ作っておけ!
アメリア:でも最初にコンゴウ先生らしきものに遭遇してから一度も見れてないんですよ?
そこに近い遺跡二つ潰しましたがどれも蛻の殻と魔獣だらけ、ジリ貧になってきましたね・・・
ハーネル:でもよ、確かにらしきものっちゃらしいんだけど、前のアレは本当にコンゴウ先生だったのか?
何か重力とか磁場を操作されたようで俺たちゃ動けなかったけどよ
ミカヅチ:いや、あれは間違いなく親父の業だ。あの取り巻く「闇」に関しては知らんが
あの威圧と殺気、そして「夜叉」の証である真紅の眼光。歳を食おうが練度は落ちんようだな
スティレット:影が晴れた瞬間に姿そのものが消えました。私のサーチャーもそこで完全に途切れています
ハーネル:ったくよ、やる事なす事全部人外の域なんだよ、お前もコンゴウ先生もさ
ミカヅチ:(人外ね・・・言い得て妙な言葉だよ全く。だが俺にはもうひとつ疑問がある。
「対魔力」と称し創った魔導斬の考案者である親父が、なぜ闇の魔力を発していたのか・・・)
アメリア:・・・ミカヅチさん?
ミカヅチ:(そう、俺もだ。何故俺達魔導斬の血筋に・・・魔力素質が存在している・・・?)
アメリア:ミカヅチさん?
ミカヅチ:おンどぅるっふ!?・・・おぉ、どうしたアメリア
アメリア:い、いえっ、何かすごく怖い顔で考え込んでいたようですから、おそらく話聞いてないなって
ミカヅチ:ホヮッツ?
アルバート:次回の遺跡探索は一週間後。そして場所は王国の北東!まだ踏み入れてない湿地帯がある
そして今日はこのダラけっぷりを考慮し、王立図書庫で調べ物の会とする
スティレット:一般の図書館と違い、国王と遺跡研究室などが直に管理している技術者向けの場所です。
ネットワークも通っていますので、私を介して調べることも可能です
ミカヅチ:そうか・・・。まァ、たまにはイチから調べなおすのもアリだろ
ハーネル:そんじゃ行きますかぃ。あ、確か図書館って危険物所持禁止だったよな?
スティレット:今回の王立図書庫は国王直々の持ち込み許可を得ています、心配いりません
ミカヅチ:全く、つくづく今の置かれてる立場が便利だなと思うよ
N:そう呟きながら、ミカヅチは刀袋を手に教室を出て行った。
N:薄暗い遺跡の中。刀を構えたミカヅチが、一匹の魔獣へと向かっていく。
唐竹(からたけ)から振り下ろした刃は魔獣の皮を断つことができず、弾き飛ばされてしまった
ミカヅチ(少年):うぐっ・・・!はぁ・・・はぁ・・・ッ
コンゴウ:だから言っただろう、ただ闇雲に相手の急所を狙おうが身体に刃は通らん。
ヤツを見るのではなく、ヤツの纏う「気」の流れを見ろ!
魔導斬の基本その1、「気には気を、魔力纏わぬ我等は威圧を纏え」・・・
纏う気が弱く、脆い部分は必ず存在する。精神集中!より早くヤツの斬り込む場所を見極めろ
ミカヅチ(少年):気の流れ・・・。身体そのものが持ってる魔力と魔心臓の発生源は別なんだ・・・
コンゴウ:せぃあァッ!!!
ミカヅチ(少年):ッ!?(威圧で魔力を発生を無理矢理防いだ!?)
・・・そうか!「気には気を」、魔力が魔力を防ぐように、威圧で負荷をかけて中和する・・・
コンゴウ:(視えていたか・・・。やはりこやつ、武人になる天性の勘を持っている)
何時しか教えた「無限心気」の応用だ。先ずはその殺人剣で、一番斬れる部分だけを狙っていけ
ミカヅチ:応ッ!せぇぇえいッ!
N:小さな身体でミカヅチは果敢に魔獣へと向かっていくが、やはり刃は通らずに弾かれてしまう
それでも猛攻を止めないミカヅチ。コンゴウは横から眺めているだけだった
ミカヅチ(少年):せいっ!はぁっ!・・・はぁあッ!!
コンゴウ:(斬りに行く場所は悪くない・・・。だが自身に気を纏えぬ以上、包丁で鋼を斬るのと
同じ錯覚に陥る。こいつが斬れぬ以上、対人戦闘は不可能に近い・・・)
ミカヅチ(少年):ぜぇ・・・ぜぇ・・・ダメだ、こんなんじゃ・・・俺は強くなって・・・
ミズチを護る・・・。ミズチを・・・この剣で・・・この身体で・・・!
コンゴウ:何ッ・・・!?(剣気と闘気の練度が増した・・・!?)
ミカヅチ(少年):待っていろミズチ・・・!チェストォォォーッ!!!
N:コンゴウはほんの一瞬だが、ミカヅチの眼が光るのを見て背筋に寒気を覚えた
威圧感から生まれる重圧によって相手が錯覚する鋭い眼光、齢10にしてミカヅチは会得しかけているのだ。
ミカヅチの袈裟斬り(けさぎり)を受けた魔獣は、肩から斜めに真っ二つとなった
コンゴウ:(あの魔獣の最も硬い部分から斬り落とした・・・。こやつ、練れば完全に化けるぞ・・・!)
・・・よくやったミカヅチ!今の感覚を決して忘れるな、お前の護るべき者の為に!
ミカヅチ(少年):はぁ・・・はぁ・・・と、父さん・・・ちょっと、休ませて・・・
コンゴウ:(今のミカヅチの動力源は何なのか・・・そう、妹のミズチの存在だ、これだけは確信できる。
・・・己が護りし存在があるから強くなれるのか、だが・・・このままでは)
ハーネル:・・・そーれっ!
ミカヅチ:んぉごっふ!?・・・お、おま!何しやがる・・・ッ!それ何キロだと思ってやがんだ・・・!
ハーネル:いや、だってよぉアメリアに聞いたぜ?お前寝てるときにレベッカが起こそうとしたら
肩肘砕かれそうになったって。だから遠くからモノぶつけるのが得策だろうなって
スティレット:だからって私のミサイルコンテナを投げないでください。暴発しますよ
アメリア:も、もう少しやさしい起こし方は無いのかしら・・・?
ミカヅチ:ったく、俺の身体が少しだけ丈夫だからって扱いが手荒過ぎんだよ。ホレ、スティレット
スティレット:ありがとうございます、ミカヅチ様
アルバート:おいお前等、コントをやりにこんな特別な施設借りてるワケじゃないんだぞ?
図書館同様、少しは静かにせんか全く
ハーネル:ミカヅチが眠たくなる理由も分かるぜ、ジャンルが膨大すぎてサッパリだ
アメリア:「世界の伝説」というジャンルだけで、この広さですからね・・・。
ここから更にアトランティスを絞り出していくのだけでも心が折れそうですよ
N:一行のいる場所は、世界中の神話や伝説を研究し綴られた手記や伝記などが陳列さえたエリア
しかし世界中とだけあって種類は豊富で、パッと流し見ただけでも回るのに30分とかかったのだ
ハーネル:お?ここにジパングの項目があるじゃねぇか・・・って事はまだ極東区域かよ!?
アルバート:いや、現実的に考えて何でお前は東から探してるんだ!?ここは西だろう?
ハーネル:いやー、生まれてこのかたココにいると、どこが東部でどこが西部なのかも曖昧になるわ
アメリア:ありましたよー南西部!ここ一面にアトランティスがあると思います
ミカヅチ:場所真逆じゃねぇか!?今までのは前座か!?
スティレット:端末に接続します。・・・・・・照合完了、アトランティス・エリダンヌ王国の区域は
Aの3エリア、全部上段ですね
アメリア:じ、上段って・・・
ミカヅチ:オイ、何でこの国の事なのにあんなクソ遠く高い場所に置いてんだよ・・・
ハーネル:俺が知るか・・・
スティレット:索引的に見ると仕方がありません。それにその先の項目はもっと上にあります
ミカヅチ:超絶的にめんどくせぇな・・・。一般公開されてねぇのがよく理解できるぜ
アルバート:ま、その為の簡易エレベーターだからな、とりあえず手当たり次第アトランティスに関する
書籍を引っ張り出してくるとしよう。アメリア、スティレット、頼めるか?
アメリア:わかりました!・・・実はちょっと乗ってみたいと思っていたのです
スティレット:操縦は私がします。お嬢様はしっかりつかまっていてください
N:二人が作業用エレベーターに乗ると、静かに上昇を開始する。最初は見守っていた3人だが
ミカヅチとアルバートは離れ、ハーネルだけが残っていた。・・・しかし若干挙動不審である
ハーネル:・・・・・・おっ!?
ミカヅチ:ん?おいハーネル、あいつらはもう大丈夫だろ?大人しく待ってろよ
ハーネル:いや、まだだ・・・もうちょい。そう!そこだそこ、あと数センチ・・・!・・・来たッ!
ミカヅチ:・・・・・あっ
アルバート:ん?
ミカヅチ:おいアメリアー。下でハーネルがスカートん中覗こうとしてるぞー?
アメリア:へっ?ってきゃあぁぁあっ!?バカーッ!!!
ハーネル:ウボァーッ!!?
アルバート:・・・若いな
ミカヅチ:(死んだなアレ・・・)
N:咄嗟に降ってきたバスケットボール大の魔力弾をモロに受けたハーネルは机で轟沈していた。
血文字で「ガーターだけでもお腹いっぱい」と書いていたが、わかるよその気持ち
N:大量の書籍を中心に調査を開始すること30分、無言でページをめくる空間が出来上がっている
「その先を見たい」と追記した轟沈中のハーネルを余所に、この静寂をアメリアが裂く
ミカヅチ:「魔導斬一刀流」の事?
アメリア:えぇ、あくまで私の憶測でしかないのですが、魔導斬が「魔導を断つ剣」であって、
なのにジパングに魔獣が居なくて、今アトランティスの魔獣を斬っているじゃないですか?
魔獣も魔法文化もない場所にいる人間が、魔獣や魔導に向かうのも・・・微妙に疑問だったんですよ
アルバート:確かにな。剣術そのものですら無双級の技術を誇るジパングの人間が、更に魔導も斬れる。
君達の流派が、この魔導に満ち溢れたアトランティスでメロウを探す為に創られた・・・
そう考えると、創始者のコンゴウ先生が此処に潜伏するのも妙に頷けるな。
ミカヅチ:・・・・・
スティレット:申し訳ございませんがミカヅチ様、前に少しばかり「魔導斬一刀流」の事を
目に見える範囲ではございますが、お嬢様と調べさせて頂きました
ミカヅチ:そうか・・・。しかしその出てきた結果ってネットワーク上に流してあるヤツだろ?
あんなもんほんの一部でしかねぇし、問題回避の為に数値とか規模かなりサバ読んでるぞ?
スティレット:えっ・・・?
N:アメリアよりも先に声を上げたのはスティレットだった。以前ミカヅチと対峙した際に他の事も
彼女だけが分かったつもりであったが、サラリと一蹴されてしまったのだ
ミカヅチ:元々「魔導斬一刀流」は魔力そのものを否定する流派だ。魔法は身体に流れる魔力から
武器等を通して発動させるが、要はそのどちらかを潰してしまえば魔法は使い物にならん。
云わば魔力は燃料であり、武器等は着火装置。どちらかが欠けていれば只の人間とさほど変わらんさ
スティレット:では、百人組み手の際は相手の武器を潰して戦闘不能にさせたと?
ミカヅチ:時間制限ってのがあるからな、相手が仕掛けると同時に胴体捌けば暴発して周り巻き込めるのを知った
アメリア:ッ・・・
ミカヅチ:というか百人組み手・・・ってあぁ、魔導斬を習って半年、十歳の時にやったヤツか
俺には魔力素質が無かったから、魔獣斬りまくって魔法耐性つけたモンだ
ハーネル:ちょい待ち。魔力素質がねぇってこたぁ今のお前の魔力はいつから出てきたんだよ?
アルバート:お、生きてた
スティレット:・・・成長の途中から・・・ですね?
アメリア:でも!魔力のコアは生まれて既に引き継がれてるものよ?途中からコアが生まれた記録は無いわ
アルバート:(コンゴウさん、まさかとは思うが・・・)
ミカヅチ:・・・・・・
スティレット:ミカヅチ様?
ミカヅチ:すまない・・・途中から記憶がごっそり抜け落ちてるみてぇなんだ・・・
記憶がハッキリしてきた時から、俺は既に魔力素質があった。人を数百人と斬った感触もな・・・
アルバート:記憶喪失・・・。ミカヅチ、修行に出て記憶が飛ぶまで、どこの国に居たか分かるか?
ミカヅチ:ガキの頃だったから流石に国までは、ただ7歳あたりから親父のツテでデカい屋敷に居候させてもらってた
のは覚えてますよ。あとは屋敷の主に娘さんがいた事くらいですかね、修行の合間縫って遊んでました
アメリア:えっ・・・?
ハーネル:んでその子がお前の初恋の相手だったと
ミカヅチ:何故そうなる・・・。もうツラも名前も覚えてねぇよ
しかしその子が、会って3年後には遊んでた相手が人殺しになってました、って知ったらどうなることやらね
アルバート:縁起でもないことを言うなよ・・・
スティレット:・・・お嬢様?どうかされましたか?
ハーネル:顔色悪いぞ?まぁ面白くはない話だから仕方ねぇけどな
アメリア:えっ?あ、いや、大丈夫です!聞き入ってただけなので・・・
ミカヅチ:ま、それも全部ひっくるめて親父に聞かないとならないんだな、これが
アルバート:成る程な、結局は全てを知っているのがコンゴウ先生って事になるのか・・・
ハーネル:そういやよ、お前っていつからサムライソード使い始めたんだ?
ミカヅチ:あー・・・物心着いたときには傍にあったな。5歳くらいか
旅に出るまでは実家の道場に篭ってひたすら基本の型を叩き込まれたな
アメリア:本当にサムライソードと歩んだ人生なんですね・・・
ミカヅチ:なに、まだたかが17年じゃねぇか。願わくば俺はこの先、魔法や魔力が工業や貿易の発展に
使われて、俺や親父のような外道は勝手に朽ち果てる平和な世を望むよ
アルバート:さて、時間も時間だからそろそろ引き上げるぞ?この書籍は全部借りていくことになっている。
あとは学園の図書施設の書籍と合わせて、全員で地道に調査していこう
ハーネル:うぃーっす。ぬあぁあぁ腹減ったー!
ミカヅチ:・・・スティレット
スティレット:はい
ミカヅチ:恐らく、アメリアも俺の違う話を聞いてまた苦悩する可能性は出てくる
さっきから何やら様子もおかしいからな、生きてきた環境が違うが、皆の行く先は同じだ
スティレット:はい、それが「仲間」というものなのでしょう、私にはよくわかりませんが。
この話題に関してのお嬢様のフォローは私が埋め合わせます。ご心配なく
アルバート:(全員の決意の再確認が、この先一度か必要になりそうだな・・・)
N:暗い表情のアメリアをハーネルが諭しながら、一行は大量の書籍と共に施設を後にする
N:遺跡の中でミカヅチが多数の魔獣と対峙しているのを、コンゴウは後ろで眺めている。
返り血に染まっているミカヅチは、一体、もう一体と魔獣を斬り捨てていく
ミカヅチ(少年):はぁっ・・・はぁっ・・・。・・・父さん
コンゴウ:・・・なんだ?
ミカヅチ(少年):俺さ・・・そろそろ基本の型で斬るの、飽きてきたよ・・・
・・・ちょっとやってみた事があるんだ
コンゴウ:・・・・・やってみろ、だが一度でも弾かれたらすぐに殺人剣に戻せ
ミカヅチ(少年):わかった・・・。・・・・はぁあぁぁぁあぁッ!!!
ミカヅチ:(・・・思えば、無茶な習得方法だったと思う。だがあのままジリ貧で斬り続けても変わらない・・・
もしかしたら、俺が親父の思想を捻じ曲げちまったんじゃねぇかと、たまに思う)
アメリア:外道はくたばるまで外道。その先に安息の二文字はなく、修羅の二文字。
国境を越えようと訪れる闘いの刺客と資格に武人は身を血に染めに往く。
私達は彼を修羅から引き摺り出すことはできるのか、それすらも命を賭けるものなのか
次回「夜叉」。己(おの)が宿命(さだめ)、汝を救う為に命を賭す。
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