Mellow〜海面に咲く華〜 第十五話「RAVEN STEEL」



登場人物

♂ミカヅチ・アザイ 17歳 行方の分からぬ父親を探すため妹と共にヴァルハラへ転校してきた本編の主人公
                        意外とフランクな性格と見せかけて不真面目万歳の皮を被った「武人」。若干シスコン

♀スティレット ?歳 普段はアメリアのメイドをしている、エリダンヌ家で製造された戦闘型アンドロイド。
                    感情を持たない割には、若干ドジっ娘気質

♂ハーネル・レッドホーク 17歳 ミカヅチのクラスメイトでミリタリーマニア、不真面目代表
                            一見チャラい男だが、ミカヅチ同様なにかとアツいものを秘めている

♀セーレ・ミカール 17歳? 何故かミカヅチのベッドで寝ていた幽霊。何故かミカヅチだけが見える。
                          基本ミカヅチだけにしか姿を現さず、神出鬼没でちょっと電波がかった謎の子

♂レイヴン・ステイル ?歳 中等部3年の童顔な少年。つい最近転校してきたらしい
                          常にどこか楽しそうな表情をしているが、その正体はST-03「レイヴンスティール」




※各キャラクターのもう少し練った詳細設定はコチラ※


役表(♂3:♀2:N)
♂ミカヅチ:
♂ハーネル:
♂レイヴン:
♀スティレット:
♀セーレ
♂♀ナレーション:



スティレット:恐らくですが、ガンスリンガーが刺客を送り込んできた可能性があります

ミカヅチ:ファッ?

ハーネル:・・・はァ!?

N:屋上でだらける野郎2名に対し、スティレットが発した第一声がこれだった。
   唐突すぎる事にハーネルは思わず缶コーヒーを落としそうになったが、ミカヅチの言葉で我に帰る

ミカヅチ:・・・どういう事だ?

スティレット:一週間ほど前にあった連休の明けにですが、中等部の3年生に転校してきた男性がいらっしゃいます。

ハーネル:転校生?国が違ェんじゃガンスリンガーのガの字も知らねぇんじゃねぇか?

スティレット:ヴァルハラが王立である以上この国に学園は一つしかありません。・・・しかし出身がアトランティスです、
            ・・・過去20年ですが、この学園で転校してきたのは私を除いて、ミカヅチ様とミズチ様のお二人だけ・・・

ハーネル:・・・確かに、コンゴウ先生を除いて教師ですらも全員出身がアトランティスだな
        で、そいつぁアトランティスの何処からやってきたってんだ?

スティレット:西の街です。・・・しかし西は孤児院や工業施設の多い「開発地区」と呼ばれる場所。
            今まで遺跡探索をしてきて、ガンスリンガーの配下に置かれていたのは西の遺跡が多かったハズです。

ハーネル:だよなァ・・・。それにこの学園、孤児院にだって出張教師送ってんだからわざわざコッチ通う必要が無ェ

ミカヅチ:確信に近いものが感じられるな。・・・中等部3年・・・転校生はそこで間違いないんだな?

スティレット:はい

ミカヅチ:で、そいつの名前とクラスは?

スティレット:・・・・・・それが・・・。

ハーネル:・・・んぁ?

スティレット:その・・・・・。

ミカヅチ:・・・・・・今日更新忘れただろ

スティレット:・・・・・・申し訳ございません

N:「玄人(くろうと)は 半端なドジに 萌ゆるもの」。ハーネル・レッドホーク、辞世の句。

ハーネル:お前なぁ・・・そこが一番重要じゃねぇか!結局コーヒー落としちまったよ!

ミカヅチ:(コイツが何気にこういう気質を持っていたのを忘れていた・・・)

スティレット:明日必ずご報告致します。・・・それでは、失礼します。

N:スティレットが一礼をして屋上から去っていくと、ミカヅチとハーネルは顔を見合わせる。
   あまりに唐突な報告と、結局その相手の情報が分からぬまま。ハーネルは身を投げるようにベンチへ寝転がり

ハーネル:なンっかいまいちパッとしねぇなぁ。って当たり前か、中等部なんざ今まで蚊帳の外だったしなァ

ミカヅチ:そういや、初等部と中等部の校舎はドコにあるんだ?
        登校してる際に制服はチラチラ見えるが、まだ学園全体の敷地把握してねぇや

ハーネル:あぁ、高等部は学園のシンボルである城全体を使ってるからな、初等部と中等部の校舎は
        訓練施設を挟んだ向こう側だ。今となりゃ俺等は特に用ねぇし、存在すっかり忘れてた

ミカヅチ:いやに遠いな・・・。転校生だから人集りできると思ったし確認がてら行こうとは思ったが

ハーネル:急ぐこたァねぇだろ。明日になりゃスティレットがデータで持ってくるさ、きっと恐らく多分。


N:うん、持ってくるといいね。

   人気のない廊下をスティレットが歩いている。教員室へ向かうため曲がり角から身体を出した瞬間、
   反対側から出てきた人とぶつかってしまう。二人は若干よろめきながらも顔を見合わせ

スティレット:申し訳ございません。大丈夫ですか?

レイヴン:あっ、こちらこそすいません!高等部の校舎は遠いので、ちょっと急いでしまいました

スティレット:(中等部の制服・・・?)・・・怪我はないようですね。
            双方不注意の両成敗としましょう。・・・それでは、失礼します

レイヴン:はいっ、お気をつけて!

N:後輩相手にもスティレットは一礼を付け、コツコツと現場を去って行く。しかし彼女の中は疑問だらけ。
   普段接触の多い曲がり角等では対向センサーで確認をしているハズが、彼の反応は無かった

レイヴン:(・・・見つけたよ、「姉さん」)

スティレット:ッ・・・!!?・・・・・居ない。

N:彼の声が頭の中に直接届き、スティレットは急いで振り返るも既に姿は無かった

スティレット:姉・・・私がでしょうか・・・?・・・まさか彼も・・・?
            センサー正常、・・・そういうことでしたか。


ハーネル:ぃいっよっしゃああああああぁぁぁァッ!!!!!

ミカヅチ:な・・・何だとォォォォォッ!!!??

N:午後は選択科目であり、ミカヅチとハーネルは生物の授業を受けていた。そして返されたのは小テスト。
   30点以下は放課後に補習があり、ハーネルが常習犯だったハズが・・・30点以下はミカヅチだけだったのだ

ハーネル:苦節半年ッ・・・!俺はようやく30点の壁を越えることができたッ・・・!
        時にはカンペを用意し時には寝ると見せかけ隣の答案を覗くも結局は撃沈だった・・・

ミカヅチ:ち・・・ちくせう・・・。あと2点だったのに・・・!

ハーネル:ありがとうミカヅチ!俺白紙だったトコお前の回答覗いて少し埋めたら31点だったよ!

ミカヅチ:結局それかよ!?テメェ其処になおれこの野郎ッ!!!
        ・・・あー補習か・・・。50取れねぇと帰してくれねぇんだよなァ・・・

ハーネル:まァ勉学に励んでくれたまへ!俺はマッハで帰るッ!!!

スティレット:あっ、ミカヅチ様にハーネル様。いいタイミングでした

ハーネル:んぁ?俺はジャストタイミングだがミカヅチはこれから監獄補習だぞ?

スティレット:そうですか。ではミカヅチ様には明日まとめてお伝え致します

ハーネル:あーばよー


N:戦犯ハーネルの策略に見事嵌まったミカヅチは、独りで補習を受ける始末となった。
   日も暮れてしまったが、ようやく補習が終わったミカヅチがため息をつきながら薄暗い廊下を歩いている

ミカヅチ:あー・・・やっと終わった・・・。ちっきしょうハーネルの野郎め・・・
        結局俺の回答分除いたら13点だったんじゃねぇか・・・ぜってぇ明日シバいてやらァ

セーレ:・・・・・ふふっ♪

ミカヅチ:帰ってとっとと風呂だ。・・・今日は早めに寝てしまおう、ドタマ痛ェ。

セーレ:だ〜れだっ♪

ミカヅチ:うおッ!?・・・あ、あー、その冷えピタみてぇな手はセーレか・・・?

セーレ:ピンポーン!って何ですかそれ!決定打が「手が冷たい」だなんてヒドイじゃない!

ミカヅチ:いや事実じゃねぇか・・・。あと声でも分かったよ
        (・・・声はともかく、その胸が背中に当たったので分かったなんざ言えねぇわ)

セーレ:むぅ、まぁいいや。久々に学校来たら偶然ミカヅチさん見つけちゃいました!
      ・・・って何かお疲れのご様子?すごく眠そうな顔してるよ?

ミカヅチ:さっきまで生物の補習受けてたんだよ。バカに嵌められて俺一人でな・・・

セーレ:補習ですか。ミカヅチさん意外と頭悪いんですね?

ミカヅチ:・・・もう好きに言ってくれ、反論する気力もねぇ
        それにしても久しぶりだな?あまりに姿見せねぇからてっきり成仏したもんだと思ったぞ

セーレ:未練たっぷりが解決されないのに消えるもんですか、呪いますよ?
      私なりに答え探しをしてたけど、やっぱサッパリ。だから後半から皆さんの後ツケちゃいました

ミカヅチ:やれやれ・・・。ま、今は俺一人なのが幸いだな。校門閉まってるから裏口から帰るぞ

セーレ:はぁーい!

N:久しぶりに話せたのか、セーレのテンションは終始上がりっぱなし。不思議とミカヅチも
   それを苦とは思っていなかった。裏口までの帰路をセーレの話を聞いて孤独感を潰していた。

ミカヅチ:俺の剣術を知っている?

セーレ:うん。前に金髪の子、アメリアちゃんだっけ?あの子との模擬戦見た時から何か引っ掛かってたけど、
      前にアザイ先生らしきものを見たときにやっと思い出したの。正確にはアザイ先生を知ってたって話

ミカヅチ:そうか・・・。ならば親父がヴァルハラに赴任した時はお前はまだ生きていたって事になるな?

セーレ:そうだね、・・・ということは、ん?私が死んだのっていつ以降?

ミカヅチ:俺が知るかっ、これ以上ドタマを使いたくな・・・ッ!?

セーレ:どうしたの?ミカヅチさ・・・

ミカヅチ:(※遮るように)破(は)ァッ!!!

セーレ:っきゃあっ!?

N:ミカヅチがセーレを突き放すと同時に後ろ回し蹴りをし、突然「飛んできた」モノを蹴り飛ばす。
   弾かれたものはそのまま地面に突き刺さる。それは2m近くある細長い棒状のもの

ミカヅチ:長槍(ながやり)・・・?

レイヴン:・・・やっぱ闇討ちは通用しないか。流石は「迅雷」、闇に紛れる暗殺者の鑑だね

セーレ:誰・・・?

レイヴン:こんばんわ、魔導斬一刀流が「迅雷」・・・。

ミカヅチ:貴様・・・一体何の真似だ?

レイヴン:なに、ただ単に今のは反応を見たかっただけさ。電話でもしていたみたいだから鈍いかと思ったけど

セーレ:あれは、中等部の制服・・・?

ミカヅチ:(そうか・・・普通のヤツにはセーレは見えん)
        成る程・・・貴様がこの前中等部に転校してきた、ガンスリンガーの刺客ってやつか?

レイヴン:あれ?情報が遅いね?・・・そっか、姉さんが言うのを渋ったのかな?

ミカヅチ:(言うのを渋る?・・・姉さん?)・・・ッ「STシリーズ」か!最新型かッ!?

レイヴン:今気付いても遅いさ!悪いけど死んでもらうよ、ミカヅチ・アザイ!!!

ミカヅチ:槍が手に戻った・・・!?

セーレ:ミカヅチさんッ!!?

レイヴン:もらったぁ!

ミカヅチ:チッ・・・!おォあッ!!


N:ミカヅチとレイヴンが対峙する2時間ほど前、ハーネルがスティレットに呼び出されて行った先は情報室。
   スティレットが昼休みに会ったレイヴンのモニター情報を、パソコンの画面に映していた

ハーネル:コイツがその転校生ってヤツか?確かに中等部のヤツがコッチ来るのは珍しいが・・・

スティレット:彼は私のセンサーに反応を見せずに姿を現しました。
            ・・・そして分かれたあと、私の頭に直接音声を送り込んで来たのです

ハーネル:「見つけたよ、姉さん」か・・・俺ァ「STシリーズ」はオンナ型だけだと思ってたぞ

スティレット:私も男性型のタイプを見るのは初めてです。

ハーネル:オンナ型じゃ骨格とかに限界でもあんのかねぇ・・・?でも結局ガキの風貌かい・・・

スティレット:明日までに情報を洗い出します。・・・できれば全員に開示したいところですが・・・

ハーネル:アメリアや先生にすらお前の正体やこのことを伏せてある・・・ちょっと厄介な事んなったな

スティレット:はい、ミカヅチ様に指示を仰いでおきましょう・・・


ミカヅチ:カァッ!!!

レイヴン:っりゃッ!

ミカヅチ:遅ェッ!・・・掌鎚「撃鉄外式」(しょうつい「げきてつがいしき」)ィッ!!

レイヴン:うわっ・・・!・・・流石だね「迅雷」、インファイトで無敵を誇るジパングの武人はサムライソード無しでもこの体術・・・!

ミカヅチ:貴様は俺を殺すと言った・・・ならば俺も出す返礼は殺す一択だ、量産型の二の舞にしてくれるッ!!

レイヴン:はははははッ!楽しいなぁ!ほらほらもっと行くよォ!?

ミカヅチ:シッ・・・おぉァッ!!(コイツ・・・本当に「STシリーズ」か?スティレットとは違って人間味が強過ぎる)

セーレ:ミカヅチさん・・・

ミカヅチ:(セーレ、お前は上に行ってろ。・・・すぐ片付けるッ)

セーレ:でもっ・・・ッ「スパックフレイム」!!

N:セーレが魔法を唱えると、競り合いになっていた中心の火花が強くなり、レイヴンに火の粉が襲う。

レイヴン:うわっ!

セーレ:相手が私のこと見えないなら、援護だってできる!

ミカヅチ:セーレ・・・

レイヴン:余所見なんてしてる余裕あるのかなぁッ!!

ミカヅチ:何ィッ!?(槍の形状が大剣に変化しただと!?)

レイヴン:ははは・・・やっと剣を抜いてくれたね。僕らの攻撃を競り合ってられるだけ大したものだよ
        もっとも、反応が鈍って鞘から抜ききれなかったのは痛いだろうけどね?

ミカヅチ:く・・・その武器の材質ッ・・・液体金属だな・・・?

セーレ:液体金属・・・!?ミスリルとオリハルコンの上を行く材質。架空の材質じゃなかったの!?

レイヴン:そういえばサムライソードを作る際にも鋼の中に数パーセント入れるんだっけ?
        たしかにコレは液体金属。でもね・・・?僕はガンスリンガーの技術の集大成なんだよ!?

ミカヅチ:ゴチャゴチャうるせィッ!!!「魔導斬一刀流」迎撃兵法・・・!


レイヴン:「RAVEN STEEL(レイヴンスティール)」


ミカヅチ:な・・・・・ッ・・・!?

N:レイヴンが己の名を唱えた瞬間、大剣の刃が一瞬にしてエメラルドに発光した。
   そのまま剣はサムライソードの刀身と左腕を肩付近から真っ二つにし、左半身を縦に斬り裂いたのだった
   斬り飛ばされた左腕は半分になったサムライソードと共に宙を舞い、身体から血しぶきを咲かせる

セーレ:ミカヅチさぁぁぁぁんッ!!!!!

ミカヅチ:ぐぅうぁあああああああァァァっ!!!?

レイヴン:あぁっはははははははは!!!サムライソード、今ここに堕ちた!!!
        言っただろう僕はガンスリンガーの集大成だと!液体金属の更に上を行くんだよ!!

ミカヅチ:が・・・がァッ・・・!「光線金属」ッ・・・がはァっ!?

レイヴン:いい姿だねぇ「迅雷」。どうだい?久々に浴びた人間の血は?自分のだけどね、フフフっ

ミカヅチ:俺の刀が・・・折れた・・・?ぐっ・・・ぁ・・・

レイヴン:・・・もう死ぬかな?じゃ教えてあげるよ。ST-03「レイヴンスティール」。
        地獄で逢えたら良いね、さようならッ!!

セーレ:「ヴォルカニック・エクスプロード」ッ!!!

レイヴン:ぐわぁああッ!!?

N:ミカヅチがガクリと己の血だまりに膝をつくと、レイヴンが剣を振るおうとした。
   だがセーレが魔法を発動しレイヴンの周りを囲むように火柱を発生させて遮る

セーレ:させない・・・!ミカヅチさんを殺させない・・・っ!
      焔(ほのお)の檻に囚われし囚人に安息の業火を・・・!

レイヴン:さっきから厄介な魔法だな・・・!・・・ってあれれ?「迅雷」はもう落ちちゃったのかなぁ?

セーレ:・・・・・えっ

ミカヅチ:・・・・・・。

N:セーレが涙目でミカヅチへと振り返るが、ミカヅチは掌を地に置き、頭は垂れ下がった状態だった。
   今にも泣き叫びそうなセーレを余所にレイヴンが歓喜の表情になる。するとミカヅチから蒸気が発生、
   レイヴンがミカヅチの掌に乗っていた試験管アンプルを見つけると、歓喜の表情が凍りついた

レイヴン:・・・しまった・・・!

ミカヅチ:ガァあああああああああああァァァッ!!!

レイヴン:ぐぅあッ・・・!?

ミカヅチ:ぬゥえええェェェりゃッ!!!

N:咆哮をあげ突進したミカヅチは、瞬きする暇も与えずレイヴンの腹に右拳を叩きつける。
   地にめり込むほど軸足を踏ん張ると、そのまま壁へ殴り飛ばした

レイヴン:が・・・っは・・・!

セーレ:ミカヅチさん・・・!?何で・・・?傷・・・左腕が・・・!?

ミカヅチ:フシュウゥゥゥゥ・・・・・ッ・・・!

レイヴン:ぐっ・・・は・・・ははは、まさか君がそれを持っているとはね・・・!
        元々殺しにくい身体だけど、またちょっと殺しにくくなったよ、その眼光も発動させちゃった

ミカヅチ:使いたくは無かったさ・・・。だが・・・俺はまだくたばるワケにはいかん・・・

セーレ:あ・・・あぁ・・・っ

ミカヅチ:(だから上へ行っていろと言ったんだ・・・)

レイヴン:フフフ・・・でも君はもうサムライソードが無いんだ。
        後は、僕が嬲り殺してやれば良いだけの話さッ!!!

ミカヅチ:チィッ・・・!「飛翔閃・隠密旋風(ひしょうせん・そよかぜ)」ッ!

N:折れた刀身の半分を手裏剣のように回転させながら投擲するが、レイヴンは難なく弾く。
   その隙にミカヅチはもう片方の折れた刀を拾い、身構える

レイヴン:全く、そんな半分に短くなったサムライソードなんて持ってどうするのさ?

ミカヅチ:無いよりはいくらかマシだ・・・。あとは効果がどこまで続くか・・・凌いでやるさ

レイヴン:余命が数分伸びたところでッ!大した意味はないよッ!

ミカヅチ:ぐっ・・・!(今は光剣状態じゃないが、それが発動したら終わりだな・・・)

レイヴン:へぇ・・・そんな短さの剣でも捌けるのかぁ・・・。じゃあ速度上げていこうかなぁ!

ミカヅチ:チィいッ・・・!

セーレ:ミカヅチさん!私とエレメントブラストをして!!

ミカヅチ:バカ言うな!俺は攻撃魔法持ってないんだぞ!?殺す気か!?

セーレ:「我が求むるは火の剣・・・。剣断たれし武人の、新たな剣となりて我は贈る」

ミカヅチ:話を聞けッ・・・!?ぐぅううううぅうぅぅうぁッ!!!

N:ミカヅチのサムライソードを持つ右腕から灼熱の炎があがる。だがその炎はミカヅチの制服と腕をも燃やしていた

レイヴン:火の剣!?姿が見えないけど君は一体誰と話をしていたのかな・・・!?

セーレ:そんな・・・。エレメントブラストならお互い魔力持ちだと術者にダメーシないハズなのに・・・

ミカヅチ:小僧ッ・・・!クソ熱ィから覚悟しておけ!「炎刃・迅雷魔刀(えんじん・じんらいまとう)」ッ!!

レイヴン:ちっ・・・させるかぁぁぁあああッ!!!

ミカヅチ:ちぇええェェェあぁッ!!!

N:ミカヅチの横薙ぎの一閃と、レイヴンの光剣の一閃が交差する。
   しかしレイヴンの光剣はミカヅチの炎刃を刀の無い部分だけ裂いてしまい、ミカヅチのリーチが一気に消滅
   完全にノーガードになってしまったミカヅチ、レイヴンは歓喜の笑みで刃の方向を切り替えた

ミカヅチ:・・・・・無念・・・ッ



スティレット:武人は願う、ここで朽ちるのは自身の望みではないと
            魂は絶たれ満身創痍のその肉体で、望みはどこまで辿り着く事ができるのか
            ST-03「レイヴンスティール」。STシリーズ最強は何を秘めているのか
            次回「サムライショウダウン」。貴方が朽ちれば、全て白紙となる


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